kashiya

和解はできない
今日も明日も変わらない
理解しようと、アルバムを開く
いつか訪れるはずの変化を待つだけ
ここで破けば、全てが終わる
解放の号令が心内で鳴り響くだろう
思い浮かべ、嘆息をして
思いとどまる
相殺はできない
今日も明日も変わらない...

「見える」「見えない」で水を掛け合う
こうしている間にも、空気は平等に廃れていく
「愛す」「愛さない」で時間を稼ぐ
こうしている間にも、空気は平等に廃れていく
掴んだと思っていた
その先をこれから見つけるはずだった
返事　欲しくて
少し　近づく
返事　欲しくて
右手　差し出す...

目を瞑っても、廻り続けることに気づいた君
不自由なふり　不自由なふり
器用に立ちまわってみせる
水気のない掠れた心は美しくない
望むことを忘れた心は美しくない
サヨナラを言わなくとも、誰かが駆けつける
不自由なふり　不自由なふり
今宵も愉しく悦に浸る
枯渇した涙を求める浅はかさ
戻ることも、急ぐこと...

薄墨色の空の下
さっきまで聞こえていた音を思い出す
邂逅は二度とない
あの頃の色彩は流れていってしまった
協奏曲のフリをして
頼りない感覚を研ぎ澄ませる
深淵にいるのかい？
問い掛けは誰に向けられたものだろう
溢れでた光に名前をつけてください
行き先のない慟哭に名前をつけてください...

私は生きていない
目の前に転がっている幾つかのフィルム
その中でなら、私は生きている
なけなしの喜びを君に
悲しみの代わりになればいいな
私は生きていない
ああ、世界中の悲しみを粉砕したい
達観に似た諦観のもと、フィルムの中で私は叫ぶ
なけなしの喜びを君に
悲しみの代わりになればいいな...

ワタシがキミに望むこと
ワタシより先に待ち合わせ場所にいてほしい
ワタシが観たい映画を知っていてほしい
ワタシの下らない話を笑って聞いてほしい
ワタシが間違っている時は優しく諭してほしい
ワタシが謝らなくても許してほしい……
……本当はそんなことは望んでいない
本当は、
君にもう一度会えれば、それで...

春は手にする情報が多すぎた
真偽も分からずに、着いて行った
悔いてないと笑ってみせた
夏はニセモノが繁殖した
荒んだコーディネートがお似合いだった
一人になった時、苦虫を噛んだ
秋は柔らかく凪いだふりをした
結局、春から引きずっていたのだ
笑い合う相手はどこにもいない
冬はあきらめて鎮座していた...

焦って、なんとなく手紙を書いた
走って、速達に投函した
こんなにも青い空は綺麗なのに
こんなにも僕の世界は息苦しい
再生を止めよう
もう一度、撮り直そう
頼り頃、惑い頃
せめて青い空は青いままで
臭って、僕の吐く息が原因だと
知って、急いで暗に隠れた...

離れていく
手を繋いで、振り返ることもせずに
遠くから、ぼんやりと祭りの喧騒
近くから、鳴き続けるクロイワゼミ
「知らなくていいこともあるでしょ？」
外灯の下、請うてくる君の眼を
直視することはできなかった
意味を知らなくて、声が聞きたくて
求める心に抗えずに
僕は君を刺し続ける...

面倒な世界で、面倒な関係を継続しながら、
面倒くさそうに鑑賞し続けるダンサー・イン・ザ・ダーク
君の声を殺せるなら、君の息を殺せるなら、
君の自由を殺せるならと想い狂った僕は待ち続けるよ
黄色と黒の間で彷徨った結果、黒に向かうことを決定しました
消去できない君の声を　消去できない君の息を
いつまでも...

灰色の雲が明日を隠す夜
見上げても捉えられない本当を
私は今日こそ手繰り寄せる
一瞬、見えた雲の隙間
ほら、こちらへ手招きしてるよ
十六夜ロックが響く頃
君はいつの間に駆け上がる
身体よりも、心よりも、本能が行きたがる
十六夜ロックが響く頃
君の鐘の音が響き渡る...

果てで笑った僕と君
消えた想いは未だ見つからず
「いつか見た世界は、また見られる世界」
言い聞かせてここまで来たのに
愛を讃歌（君のための慟哭は）
愛が酸化（僕のための慟哭で）
気付かずに君と笑っていた僕
暗闇に庇護されながら僕と君
伝う涙を互いに隠して
「忘れた青空は忘れたままで、この暗闇だけを心...