タグ「海」のついた投稿作品一覧(9)
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開いた手のひら重ねて
十の指で海を掬ってる
隙間のないように結んで
白い傘の下まで運ぼう
一滴こぼれてしまったら
何もかも空しくて
二人はもう歩けない
魚に戻ってしまう
白銀の魔法にかけられて
繋いでる手の中で...瑠璃雀
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海辺の砂の匂いがする
君の肌をキャンバスにして
蒼い絵具でこぼした夢
反射する 昼中の月
心臓は海星の象
浅く光る 波間に歌う
突き当たる胸の裏側で
反響する さざなみの声
君から還る波が
足裏を浚ってゆく...昼中に召す
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砂に描いた星座を
今夜 君にあげたい
鯨たちの鳴き声
遠い 熱を震わせ
響いた
この世界は
僕に透明が過ぎて
直に見えなくなるんだろう
宇宙の
渚に流れ着いて...僕は涯へ往く
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気泡の弾けた瞬間に、零した言葉は消えてしまった。
遠くで誰かが奏でるオルガン、どうりで目覚めがいいや。
ああほら、どこかが呼んでいる
リイロウリイロウ、朝だよ。
片足立ちで歩いてゆこう、絵空事だって試すよ。
泡沫はそこに存在しているだけでいいと、気づいてしまえば簡単で、君もだろう?
夢見の悪い夜でも...オリオンテール
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雨傘に純白の
鯨を飼い始めて
少し高い音まで
聞こえるようになった
爪先に紅色の
珊瑚が根づいてゆく
私の呼吸には
無数の泡が 揺らぐ
肺を昇れ
七色の海月...海になる
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その窓辺には蔦が絡んでいて
だから鍵は開かないのだと
噂で聞いたあの人が
今日は海風を浴びている
その眸には影がかかっていて
いつもどこか寂しいのだと
誰かに聞いたあの人は
今日は穏やかな日のようだ
碧く震える海の上で
その人はいつからともなく一人...灯台守
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銀河に投げた
輪のなかを
静かにくぐる
ひかりの目
掬うみたいに
見透かして
呼吸の震える速度
睫毛の揺らめく影と
忘れなかった思い
わたしの手を引いて...蒼と眩む
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ネイビー・ブルーの目蓋の奥で
いつだって思っている
この闇の帳をかき分けて
どこまでも行く君のこと
「水圧で眩むような目ならば」
「きっと邪魔になるだけさ」
「この闇の底へ行きたいんだ」
「世界の足に触れたい」
君はよく似合う微笑みで
その目を閉ざした...エコーロケーション
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溢れた言葉も
零れただけだと
泡にして 泡にして
ほらもう浮かんだんだ
形を成しても
器になれない
漂って 漂って
青いせかいを飲んだ
他に何もないような
何かでできてる...鯨と感傷