色んな方の個性や感性にふれたくて登録しました。 創作仲間みたいな友だちがほしいので、何かあれば気軽に話しかけてください。
プロフィールを見る投稿作品9作品
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いとしさと切なさを指先が知った夜
僕はきっと生まれた
青い柩のような月に
遅い口づけをおとして
願いよりも願いらしく 生まれ落ちてきた僕は
そのときから満ちない夢 いまだ君へと還れぬまま
哀しみをこじ開ける
何もかも終わるというのなら
もう一度だけ、名前を呼んで
見つめ合った瞳の奥に...a pains
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夜が明ける前に
この窓を埋めたい
落ちる時雨 編んだ
薄氷を踏む 白い素足(あし)
慣れた部屋のなか 何かを悼みながら
鬱積は透明な 傷あとから溢れた
あなたと私が流す涙の星が
願いを同じと言い切れるなら
嘯いて 甘く はげしく
月果てる最愛は「あなたがいとしい」...catalepsy
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凍りついた幻月(つき)の夜に
一度だけ触れ合ったくちびるは
冷めやらぬ熱を残して
ひとつずつ消えていく気がする
ほどけてく二人の指先のように
悲しみの底に触れた
あの日から ずっと
行かないでと抱きしめた夢の残骸
包んでくれていた過去さえ美しく
頬を撫でては絶える涙の轍のように...fasten field
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そこにいるひと
淡い光のさす窓辺に、少女が立っている。
視線を手元に落としたまま、一心に何かを呟いている。
整った容貌に表情はない。
白いサッシの窓からこぼれる光が、彼女の黄金色の髪に揺らめいて、そっと溶けた。
ふと、見えないものでも触れたかのように顔を上げる。
瞳は、窓の向こうのさらに...うたいびと
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どこへ行くのだろう 僕ら
こんなにも柔らかな繭が
口を開こうとする夜に
まるで水を呑むがらくた
つぎはぎの言葉の音にさえ
今は溺れてしまいそうだよ
それでも
唇をふさぐためだけの
優しい嘘で朽ちていくくらいなら
束の間に燃え尽きる...腐る繭
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白い窓枠を染めるのは
枯れた花の赤色とわずかな欲望
眩むような痛みをのこして
消えていくの 静けさの中
あなたの落とした弱さだけ
輝きながら 揺らめいて
見えなくなるのを待ってる
何もいらないと言った 震える手を握った
どこへも僕ら行けなかった それでもよかったのに
どうして触れ合うほど心 遠くなる...コールドスリープ
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音を止めた名もない街に
そっと伸びていく透明な影
柔らかな檻で睦み合う
僕らはまたそれを見届ける
「もしも終わりを望むのなら
そのときはわたしを殺して」
入り組んだ紐をほどきながら
微笑む姿が朝に消えた
プラチナ 蓋のない 白い箱の中で
淡く光に透け散らばる砂は...プラチナ
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枯れた花を溶かした
紅い海に沈む舟
錆びた鉄が横たわる
水の底で聞く唄
それは冷たい春の日
草で編んだ輪をはめて
ずっとそばにいるから
はにかんだ頬が近づいた
存在という重さはそっと
水草で傷つけた 指さきの孤独...花の海
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遠いあの森に沈んだままの
永遠かたる ひそやかな月
毎夜尽きる星を溶かして
贋物(にせもの)の羽根を 私はつくる
それではまるで雪のようだと
諦めたように 笑うあなたの
静かな余韻が消えないのを
また一つ「面影」と数えて
折った指の隙間から
くぐり抜け ふり積もる...garden