心に浮かぶ言の葉を、ゆるりと流し、ふわりと並べ、ひらりと彩りたい。 美しい夜の闇に舞う、あの十六夜の月のように。 どうぞ、その心の琴線に触れる言の音が生まれますように……。
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そうだね キミの心を疑うなんて
あたし きっと
どうかしてたんだ
風に揺れる髪が好きだよ
お陽様に煌めく瞳も大好き
不思議だね
キミの嫌いなところなんて
あたしには見えない
それなのに
風に悪戯されて纏まらない髪とか...ごめんね、大好き
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……綸 五……
「つまり、世の中の不条理さを一番に受けるのは、あたしたち女ばかりって事なの!」
愛美の声が音楽室に大きく響く。慌てて左右を見回したのは、綸と未来で、当の本人は自分の言葉に酔いしれてまるで何も気に留めてなどいないようだ。
しかし、この学内で教師以上に大きな声を響かせるなど、...君戀フル櫻ノ物語 七
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それは、心を震わせる。
それは、心をざわめかせる。
そんな、落ち着かない感情の名前を、僕は何と呼ぼうか?
……漣 四……
戻って来た屋敷は、出て行った時と変わらず、静寂の中に沈んでいた。
「少し…遅くなったな……」
もう一度、懐中時計を確かめる。
もう日付は変わって随分過ぎている。い...君戀フル櫻ノ物語 六
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それは、心を砕く。
それは、心を疲弊させる。
それでも、止まらない感情の名前を、あたしは何と名づけよう?
……綸 四……
深く闇に沈む自宅は、恐ろしい程静かだった。
「……気づかれなかった…のかな…?」
正直なところ、こんな時間に自室から消えた自分に、きっと周辺は大騒ぎになっていると...君戀フル櫻ノ物語 五
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こんなにも世界が色を持っているなんて知らなかった。
今、鮮やかに浮かび上がる世界の中で、あなたの存在が、まるで奇跡のように輝き出す。
……綸・漣 三……
夜桜の隙間から十六夜の月の光が零れ落ちている。その光に触れられそうな気がして、綸はそっと手のひらを上に向けて手を差し出した。
鼓膜を優し...君戀フル櫻ノ物語
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それは、必然。
なぜならば、二人は出逢うために生まれてきたのだから。
今
二人の物語が、はじまる。
…綸、漣・二…
足の裏から強烈に響いてきた痛みに、綸は身体を震わせて立ち止まった。
「……っ……はぁ…はぁ……」
立ち止まると、勢いよく暴れた呼吸が胸を叩き、頬を汗が伝う。そのまま視線...夢戀フル櫻ノ物語 三
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…漣・一…
「……っっ――!!!」
自分の悲鳴が鼓膜を内側から振るわせた気がして、思わず眼を見開く。
それから、そこが自分が書生として暮らしている屋敷の自室だとわかり、漣はほっと息を吐き出した。
「…夢…か……」
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
僅かに開いた窓の隙間から吹き...夢戀フル櫻ノ物語 二
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ひらり、はらり。
十六夜の月明かりに、また、ひらり、はらり、と。
その音に、名前を呼ばれた気がして最初に顔を上げたのは、どちらであっただろう。
もう、そんな記憶すら定かではない程に、アナタを想う心が震え出す―――。
【夢戀フル桜ノ物語】
…綸・一…
石畳の街並みは、既にあの大災害の傷跡...夢戀フル櫻ノ物語 一