イツキの投稿作品一覧
-
揺れる 身体 眠かけの 瞳は
静かに 閉じてゆく
誰も いない 電車の中
次の 駅は 遊園地
足元に お気をつけ ください
では どうぞ 楽しんで
笑うピエロが風船片手に
見えない誰かを追いかけて
回り続けるメリーゴーランドは
背中軽く走り出す...こちらへおいで
-
「僕は歩くのが遅いから、先に行っててください」
小さな石ころにつまづいては転んで
泣くこともせずにただひざ抱えて
どうしてだろう、何もうまくいかないや
世界のすみっこで空を見上げる
そういえばいつからだろう
景色がまるで変わらないんだ
こんな低い視線からじゃ
何もかもが見えない
何度も何度も何度も何...見ないふり
-
特に寂しくはないと
自分に言い聞かせて
楽しく響く声にも
無視決め込んで強がった
とっても楽なんだ
つらいことから逃げるのは
目の前のでかい壁にも
小さく蹴り入れてさよなら
いったい何がしたいんだ
ほんとはね分かるだろ...開けずの扉
-
たった12cmのしかありませんが
ちゃんとここに居るんですよ
ずっとはるか昔から
隙間に射すモノクロ世界を眺めてるんです
何に挟まれているのやら
気づいたら動けなくなっていたんです
声を出してみようにも
息が吸えない狭さなんです
多くの人が行き交うのですが
こちらには見向きもしません...モノクロと赤いあめ
-
今日も会いましたね
顔も名前もわからない
夢の中だけで会える
不思議な夢物語案内人
初めて会ったのは
確かママのお腹の中
海に揺られる姿をみて
優しく微笑んで手を引いた
その次に会ったのは
確かパパとけんかした時...夢物語案内人
-
世界が焼ける
一人揺れるブランコ
もう誰もいなくなったみたい
軋むシーソーが寂しくて
僕はジャングルジムの上から叫んだ
「おおい、僕はここにいるよ」
声は空気に吸い込まれて
どこかへ消えた
ちょっと、不安になった
朝に見る机の花は...境界線が薄れる
-
お金持ちのお屋敷に住む
優しい母親とまだ幼い娘の話です
うらにわの古い井戸
のぞくとあくまが出るらしい
立ち入りきん止の立て札が
気になって仕方ないわ
ある日の昼下がり
お母さんはお出かけでいない
屋しきにはわたしひとり
やりたいことは決まっているの...わたしのお母さん
-
勇者【俺】が助けに行くのは
遠い遠い国の可愛いあの子
悪い敵にさらわれて
きっと毎日一人で泣いている
結ばれるはずの俺たちの
仲を裂くやつは許すまじ
ABCちゃん助けに行くよ
俺の大好きなお姫様
たとえ無限回廊にはまっても
死ぬ気のパワーでかけていく...残念勇者物語
-
とある街の小さなお屋敷には
ピアノの上手な少年一人
目が見えないし話もできない
それでも上手に奏でるんだ
いつしか少年は街で有名になった
『目の見えない天才ピアニスト』
人々は一目見ようと屋敷を訪れた
パーティのような華やかな日々
少年はとても幸せだった
そんなある日の発表会...鳴らないピアノを弾く少年
-
ほら あの夜空を見上げたら
キラキラ光るお星さま
それはキャンディみたいに
カラフルで甘くてやさしいの
だけどだけど
いつのまにかボクのもとへ落ちてきて
いつのまにか地面でくだけた
それはいつか誰かがだいた
夢のカケラだったのかもしれない。...星くず
-
もし僕がお金持ちだったら
きっと誰よりも幸せだった
もし私が美人だったら
きっと好きな人と結ばれた
もしあの人みたいに
もしあの子みたいに
もしもし、もしもし。
僕らは遠い未来に電話をかける
誰もその受話器をあげてはくれないけど
それでもいつか...じぶんつうしん。
-
むうっとほほを膨らませ
楽しくない歌を聴かされて
なにもしたくない
ある日の朝
とろとろって
あったかくて
何もしたくない
ある日の午後
星が遊んで
世界が静かで...夜におはよう