さつき

ポツリと雨が 降り出した街を
傘もささずに かけてく彼女
人波の中 遠ざかる背中
きっと 待ち合わせてるのね
あなたが彼女の事を 呼ぶ時の声が
とても優しく響くから 好きだった
「あなたが呼ぶのは私の名前じゃない」
ひとり私はつぶやいてた
今更自分の気持ちに気付くなんて
『彼女のように私の名も 呼ん...

いつものように　私をからかい
くしゃりと頭を　なでて笑った
逃げるあなたを　追いかける私
ただ　笑って見る　あの娘
三人の微妙な距離　危ういバランス
気づかないままでいれたら　今でも…？
あなたが見つめているのは　私じゃない
ひとり私は立ちすくんだ
あの娘の視線の先にも　あなたがいた
そんな…私もあ...

『ゴゼンヲハナレズ チュウセイヲチカウト セイヤクスル』
周囲(まわり)と少しズレた日常 居場所を守る為に自分を殺した
どうすれば馴染めるの？ 拭いきれない違和感
水音の夢に導かれる様に 非日常が牙を剥く
連れられるまま私は 月の影に墜ちてく
白刃が見せる 故国(こきょう)の幻
手に入れたくて 必死...

[Ａ]
話しながらふと 遠くを見るあなた
誰の事を思っているの？
目の前のあたしを見て欲しくて わざと拗ねてみる
嫌ね…子供っぽい
抱き着いてキスをねだり
大好き！と笑いかける
微笑むあなたをあたしのものだと 確かめるように
お願い…彼女を想わないで
せめてあたしといる時だけは...

遠く遠く　歌が広がる
細く細く　澄んだ声色
流れゆく時に翻弄されながら
人は物語を紡いで往く
流れる砂に抗う私は
彼らの歌を歌いましょう…
白く白く　なびく銀髪
緋く緋く　煌く瞳
時を忘れた　“緋眼の魔女”は
人の生を狂わすと言う...

やわらかな日差しの中　Cafeのテラスでまったり
目の前にはあなたの笑顔　あぁ…なんて幸せな休日！
…なんて思っていたのにね
男の子とお話したっていいでしょ？
情けない顔で嘆かないでよ！
あなたの事が大好きだって
何回言わせれば気が済むのよ？
ホラね　二人手をつないで
美味しい紅茶を楽しみましょう？...

元気ないね？どうしたの？
あなたの笑顔が大好きなのに
疲れちゃった？大丈夫？
頑張りすぎてヘトヘトなのかな？
いつも笑顔で元気なあなたに
私はどれだけ助けられただろう
気付いたらあなたの笑顔が支えになってたよ
だから今度は私の番
頼りない肩かもしれないけど
私があなたを支えるから...

さぁ…跪きなさい
そして目の前に満ちた　雫を舐めなさい
それは貴方が流させた　女達の涙
貴方は幾度も　愚行を繰り返す
口先だけで謝って　舌の根も乾かぬ内から
また同じ事をする…
この部屋は　貴方の為の処刑場
女達の見守る中　這いつくばってお舐めなさい
天窓に月(ルナ)が満ち
部屋の中には狂気(ルナ)...

『ありがとう…』
『さよなら…』
『大好き…』
『…マスター…』
暗い水底で　誰かを探し続ける
僕が覚えているのは　ほんの僅か
朧気なフレーズ
「歌いたい」と言う思い
懐かしい誰かの面影
いつから歌が好きだったのか...

あの日僕らはこの場所で
同じ「願い」を歌にした
不思議だね
同じ「願い」の筈なのに
僕らの「歌」は違ってた
この空の色も　同じ色は一つもない
同じ姿の僕らも
それぞれ違った色を持つのかな？
僕は今日も歌を紡ぐ
あの空に...

閉ざされたこの暗い世界で
さぁ歌いましょう　愛の歌を
さぁ奏でましょう　恋の歌を
壊れかけたこの私の
零れ落ちる涙の様な
儚くも煌めく　その旋律
教会の鐘が鳴り響く
時の針が告げる終焉
絡めた指が解かれて
私はまた　独り...

『桜の樹の下には　死体が埋っていると
　教えてくれたのは　誰だったろうか
　だから美しいのだと…
　だから儚いのだと…
　繰り返される囁き声が
　いつまでも耳に響いている…』
桜色に染まる視界
一面に舞う花びら
狂った様に踊り続けるそれに
彼は心を奪われた...