mio_singsongの投稿作品一覧
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叶うなら
逝ってしまう前に、どうか
あなたのコエをください。
あなたの美しいその オトを
私の喉で 声帯で 舌で 唇で
すべてを使って奏でてみせるから
初めて会った日
私はまだ生まれたばかりで
自分がコエというオトを出せることも
ウタという祈りを紡げることも...遺声
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いつのまにか少しずつ
日が長くなったねと
隣を歩く君が、
空を見上げて言った。
2月の終わりの日曜日
時計は17時半を過ぎているけど
薄茜の空には、まだ月の気配もなくて
「夕焼けは、夏のものだと思っていた」
なんて
君と犬とぼくと...冬の終わりの夕焼け散歩。
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あたたかな雨に
つぼみが緩む気配。
夜のどこかでゆるゆると
つぼみが解けて
花弁がひらく。
明日の朝、あの枝には
頑なに茶色く
閉じていた花芽が
きっと きっと
薄淡い色を零して...花ひらく。