「美味しそうなマスカットですね♪」

「マジうま、バリうま、マスカッツパーリィナイツ。シャイマ皮バリバリ、タネない食べるのDon' t stop 止まらない イェーイ♪」

 門番騎士=ナイトはリズミカルな言い回しでフォレスタ・キングダム特産品について詳しく説明してくれた。シャイマはブドウなのに食すとき煩わしい皮と種を気にせず、実を丸ごといっとけ! と教えてくれる。

「あーっ、お城見えてきたから、もうちょいで兵舎、芸者、オレ、ナイト……」

「あんた本当に騎士なんッスか!?。だんだんオチが見えてきちゃったよ! 僕」

 確かに門番をしていた騎士が言うように果樹の並木道を抜けると見えてきたのは、この国の城であった。

 星型の形状で建造された王族を護るための城塞、そして目を止めてしまうのは、高さ109メートルもある時計の付いた監視塔である。ここは平和な国ではあるが、自分たちは本当に騎士たちが居るお城に来たのだとパーティーに教えてくれている。

 門番の騎士が前を歩くまま、フォレスタ・キングダム城内部へ入ると、彼は兵舎と呼んでいる施設へと向かった。石造りで建てられた兵舎には騎士たちにわかりやすく目印として、月桂冠の上に交差させた二本の剣と横向きにレイアウトさせた兜の刺繍を施している旗が立っている。

 この紋章旗は騎士団のシンボル。即ち、所属する国の軍旗である。

 勝利の象徴、月桂冠に囲まれ交差させた二本の剣が持つ意味は『王を護りし鋼の剣』であり、英雄の騎士たちが集う強さを示している。
 横向きにする兜に秘めた意味は『堅固な強い意思』、これは騎士団が王国への忠誠心を表しているのだ。

 騎士たちが生活をする兵舎は、厳正な確固たる意思を持った旗下付近へ建てられていた。門番をしていた騎士は、クエスト受注者の若者たちを連れて兵舎のなかへ入ると回廊の奥まで進んだ。

 すると見えてきたのは【団長室】と看板の貼られた一室の部屋の前である。


ドンドンドンッ!


 厳正に硬く閉ざされた扉を手甲の付いた手で騎士は叩いた。

「門番勤務中であるランスロット・ツェスコは団長に要件あり、入ります!」

 突如と回廊へと響く声。さっきまでしていたチャラい口調は、何処へやらとレンに思わせている。同時に本格的に騎士のような威厳ある言葉遣いに格好良さを感じた。

「入れ……」

 扉の奥から、これもまた厳正な言葉遣いをする男の声が聞こえてきた。

「失礼します!。ランスロット・ツェスコは、団長のもとへクエスト受注者を連れて参りました!」

 ハキハキとした威勢を持って門番の騎士は、ミクたちを団長室のなかで長椅子に座る男性の前にへと紹介する。

「よし、よくやったランスロット……引き続きナイトとして監視を続けろ。王国のために…そして、団長であるこのローランドのために……」

 今回のクエスト依頼主である、ローランド・デ・パルマは、黒い革細工の長椅子へキザに足組みした状態で座っていた。
 その容姿、背中まで伸びた派手なブロンドヘアーを髪紐で束ねており、おでこ付近から左右に分けた前髪を顎付近まで垂らしている。

 派手な色あいをするブロンドヘアーの毛先には、デザインパーマが掛かっており、その髪型は自分がローランドと言う騎士=ナイトであると象徴しているのだ。

「ウッス、団長。じゃあ、引き続き門番してくるッスね〜っ」

 門番の騎士は団長の姿を見ると元に戻っていた。団長室の扉が閉まると、クエストの面接が行われていく。

「俺がフォレスタ・キングダム騎士団、団長のローランド・デ・パルマだ。俺はこの国の騎士でカリスマナイトのローランドと呼ばれている。クエスト受注者の旅人よ、ヨロシク」

 団長は不思議なことに他者を惹きつける魅力があった。自分のことを“カリスマナイト”だと称すように、容姿もさることながらヒトを超越した資質がローランドにはあるのだ。

 そんなカリスマ騎士を前にしたレンは、こう言った。

「騎士をナイトだなんて……ただのダジャレじゃねぇかーーッ!」

 その発言は、第四の壁を越えて自分たちのセカイを創造する者へと発せられていた。

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G clef Link カリスマ騎士ローランド2

次話
https://piapro.jp/t/CV4V

フォレスタ・キングダムのお城イメージは↓

https://wondertrip.jp/88915/

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投稿日:2020/01/18 17:10:20

文字数:1,735文字

カテゴリ:小説

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