合わせ鏡の無限回廊のように
どこまでも続いてく小数点の先
好奇心で足を進めてみても
コンマ0が永遠のパレード

振り返ると周りは1を10に
100を100万に楽しげな宴
何も無いのを確認する日々に飽きて
俯いて最初の所まで戻ろうとする

「本当に良いの?」だってそうでしょ
「まだ先があるよ?」どこにもないでしょ
「私が一緒に行くよ?」もう放っといて!

振り払って振り返ったその先に
微かに見えた錯覚みたいな光の粒
ずるい卑怯だ酷い仕打ちもう戻れない
あの小さな輝きが私を呼んでる


枯れきった地下水脈のように
いつまでも落ちていく井戸の中
きまぐれで手を滑らせても
ルート0が単一の解法だ

元いた穴の上で光る星々が
月よ陽よと巡り照らす美しい舞台
無駄なことだと悟る日々に飽きて
張りつめた命綱を巻き上げようとする

「これで良かったの?」どうしろって?
「その奥があるよ?」絶対に無いよ
「私が待ってるから」ひどい嘘つき

未練がましく傾けた耳元に響く
微かに聞こえた錯聴のひとしずく
なんでどうしてうるさい諦めさせて
そのほんの一滴が私を呼んでる


どこまで走っていってもなんにもなくて
どこまで潜っていってもなんにもなくて
嘘つき大嫌いもう嫌だって泣き喚いて
急に現れた行き止まりに待ってたんだ

「この先はもう無いよ」何も無かった
「ここには君がいるよ」だから何?
「君がここでそれになる」何のこと?

無数の鏡が一瞬で割れて
無限の土壁が一瞬で飛び散る
霧の中に日が差し込んで
足元の水音に気付かせる

あたたかな風が霧を連れ去って
目の前には空に続く緑色の丘
手を差し伸べて私に笑いかける

「だから言ったでしょ?」

静かに手を取ると赤い数字が腕に見える

「君が灯してくれたんだよ」

遠くて深い小数点の奥底に見えた
小さくて大きな始まりの0と1

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

0ではない0のような

小数点以下の小さな1に気付けたのなら、それが始まり。

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投稿日:2021/06/12 11:11:24

文字数:786文字

カテゴリ:歌詞

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