良い双子の日だと言うのにそれとは全然関係のないお話です。間に合いませんでした…。おふざけ話?ですので、ちゃんとした小説が読みたいんだ、という方はバック推奨です。おk、何でも来いだ、という方のみどうぞお進み下さいませ!
カイトはアイスを食べていた。
アイスは美味しい。特にダッツは。値段は割高だがそれに納得できる濃厚な味わいがある。
…今はそのことはどうでもいいとして。
カイトは視界の端にレンを捉える。
レンは引きつった笑顔と銀に光る汗を浮かべながらジリジリとあとずさる。
そうしているうちに背中が壁にあたり、逃げ場をなくしてしまった。
レンは何から逃げようとしているのか?
それはレンを囲うように立ち不敵な笑みを浮かべる女性陣である。
リンを先頭に、ミク、ルカ、メイコがレンの前方と左右を固める。
カイトは気の毒に思いながらも、自分が犠牲者になるのはまっぴらなので、できるだけ関わらないように、離れた場所でアイスを食べる。
いつもは自分ばかりがあんな目に合うため、ボウカンシャとはこんなものかと、平和な時間を満悦していた。
「…っ……!」
レンは声にならない悲鳴をあげる。
「さあ、レン。やってもらうわよ!」
リンの笑顔は清々しい。それと同時に、矛盾するが黒い笑いにも見える。
何故こんなことになったのか?
それを話すには、2時間前に遡らなければならない。
『罰ゲームと着せ替え人形』
「暇ねぇ…」
メイコは椅子に脚を組んで座り、机に頬杖を突きながら零す。
暇、そう思っているのはメイコだけではなかった。
マスターは仕事に出掛けているし、新しい歌を渡されてもいない。
発声練習などもするが、それにしても時間は余りある。
この時間をどう潰そう。
するとリンは何かひらめいたのか、笑顔になり、皆に提案する。
「ねぇ、じゃあさ。人生ゲームやらない?」
所謂双六である。全員ルールくらいは知っており、満場一致でゲームをすることになった。
人生ゲームは意外と時間がかかる。時間を潰すにはもってこいだ。
リンは人生ゲームを取りに部屋へ戻り、1分と経たないうちに帰ってきた。いかに楽しみにしているかがよくわかる。
神威が手際よく貨幣を配った。配り終えたところでレンは突然こう言い出す。
「罰ゲーム作らない?」
最下位のものは優勝したものの言うことを一つ聞く、というものだ。そういうものを用意した方がゲームは盛り上がる。
反対する者もなく、罰ゲームから逃れることを目標に、ゲームがスタートされた。
因みに参加したのはメイコ、カイト、ミク、リン、レン、ルカの6名で、神威は銀行を引き受けた。
参加できないのは退屈ではないかとルカが心配したのだが、見ている方が楽しそうだと言った。
しかし今になって思えば「最下位」になる確率は皆無であり、最も賢い選択であったかもしれない。
***
ゲームは順調に進んでいった。念のため言うが、順調に進んだのはゲームだけで、参加者の所持金、人生は正に波乱万丈だ。
いきなり大金を手にしたり、株が大暴落して手元に約束手形ばかりが残ったり。
仕事に就いて、結婚をして、子供ができて、家を買って。予想以上に盛り上がった。
設定年齢が20歳を越すルカ、メイコ、カイトも大いにはしゃいでいた。
半分ほど進んだところでの所持金の順位は1位・レン、2位・カイト、3位・ルカ、4位・ミク、5位・メイコ、6位・リンとなった。
レンの勝因は、就いた職業がよかったことだろう。政治家になったため、毎回の給料マスで大金を手にできた。
「レンが政治家になっちゃうなんて、日本の将来が心配だね…」
「うっさい…。そういうリンはどうなんだよ」
「フリーター」
「リンさんの将来が心配デスねー」
「うるさいっ!」
カイトは何かと運がよく、宝くじが当たっただの、拾った壺がオークションで高値で売れただのと幸福続きだった。
「ムカつくわねぇ…」
「えぇ!?な、なんで!?めーちゃん!?」
最下位のリンはというと、大変苦しい状況に立たされていた。
リンの所持金は1万1227円と10万円の借金。
就いた職がフリーターなうえ、ギャンブルエリアにて大損したのだ。
さらには、リンが1番ゴールから遠い。
「リンこのままじゃ罰ゲーム確定だな」
そのレンのニヤりとした笑い方に苛ついたリンは大きな声を出す。
「これからだもん!レンには絶対負けないんだから!!」
この状況がラスト10マスで一転することを、誰が予想しただろうか。
***
「うっわぁ…」
レンは目の前の現実を信じられないというように、何度も自分が止まったマスの文章を読み返す。
『月面旅行に行く。30万払う。』
ルーレットが2以上を出していればゴールできていたのだ。
ルーレットに並ぶ数字は1から10。ひとつの数字が出る確率は10分の一。
その10分の一の確率で「1」が出た。そしてその結果がこれだ。
この、何ともいえない絶望感。
(誰が月に行きたいなんて言った!?誰も言ってねぇよ!!)
心の中で盤面に怒るが、もうどうしようもない。
しかたなく30万を払い、残金は2万となった。これがなければ1着の10万をプラスして、だんとつで優勝できていたはずだったのだ。
しかし2万になっても借金まみれのリンがいるのだ。最下位だけは免れる。
そのリンは20万の借金を残したまま決算マスに止まった。リンに残された選択肢は『人生最大の賭けに挑戦する』、これしかない。
賭けに負ければ開拓地行きとなり、罰ゲームが待っている。逆に賭けに勝てば、50万を手にし、30万の所持金を得ることができる。
レンの残金が2万になった今、30万以上の金を持っている者はいなくなった。つまり、賭けの勝利はリンの逆転優勝を意味するのだ。
リンは暫く迷った後にルーレットの2のところにピンを刺す。2が出れば優勝。それ以外なら最下位。
リンは深く息を吸い込み、そしてゆっくりと吐き出した。
「よし…」
ルーレットに手をかけ、勢いよく回す。ルーレットが出した数字は――…
***
「さあ、レン。やってもらうわよ!」
リンは笑顔でレンに詰め寄る。
ルーレットは2を出した。誰もが予想しなかった、リンが優勝、レンが最下位という事態である。
1番予想していなかったのはレンだろう。まさか自分が負けるなんて。しかも、罰ゲームの内容がこれだ。
「今日1日、レンは私の着せ替え人形だからね!」
何を着せられるかわからないけれど、自分にとって楽しいものでないことはわかる。
確証はないが、悪寒を感じたのだ。
(ていうか誰だよ!罰ゲームとか言い出したの!…あ、俺か)
いやな汗が流れる。
その時、ミクがあっ、と声をあげた。
「そういえばリンちゃん。レンくんに女装させるのはいいけど、服はどうするの?いくらリンちゃんと身長が同じでも、男の子だし、着れないんじゃ…」
「それなら大丈夫!私とレン、ウエストサイズ殆ど変わらないから」
レン自身、初耳だった。それよりも、いつ調べられたのだろう。
「何、俺、女装させられるの?」
「もちろん!あ、髪も下ろしてね」
リンは楽しみで仕方ないというように飛び跳ねている。笑顔が輝いて見えるのは気のせいか。
「あ、ルカ姉、カメラは?」
「準備できていますわ」
ルカはもうデジカメを構えている。そこへ、リンの部屋へ服を取りに行っていたメイコが帰ってきた。
「じゃあいくよ?レン」
「え、ちょ、待って、おま」
「えへへー」
にこにこにこにこ。
笑顔が、怖い。とレンは思った。
嗚呼、もう、逃げられない。
「…い、いやだあぁ――――――っ!!」
その叫びも空しく。レンは『着せ替え人形』と化すのであった。
***
罰ゲーム開始から30分。レンがぐったりとしてきたころ。
2つ目のアイスをカイトは食べる。先のはバニラで、こちらはチョコ。
チョコチップと迷ったが――その迷う時間も、何とも幸せだ――何となくチョコを選んだ。
そのチョコアイスを美味しく食べながら、カイトは自らにとって不穏な声を聞き取った。
「リン、カイト兄の女装も見てみたいなぁ」
「え…」
カシャンと音がし、何かと思えば持っていたアイスのスプーンが手にない。
カイトはそれを拾い、嫌な予感が胸を占める中、不自然にならないようにと気をつけながらスプーンを洗う。
「あら、それいいわね。カイト!ちょっとこっち来なさいよ!」
呼ばれた。この時点でカイトが助かる確率が格段に下がったのは言うまでもない。
ていうか何で俺!?俺めーちゃんより順位上だったんだけど!?いや、予感はしてたけどね!してたから少し離れた場所でアイスを食べていたわけですよメイコさん!それにしてもリンちゃん、何てことを言うんだ!
言いたいことは山程あったが、メイコに逆らうと何かと後が怖いので、そしてリンに対して何かをいうと弟が怖いので、胸のうちにとどめておく。
「カイト、あんた今それ全部口に出てるわよ」
「…えぇ!?」
「兎に角!優勝したリンの命令は絶対なんだから、さっさとこっち来なさい!」
「ルール変わってない!?」
「つべこべ言わない!あたしの服貸すから。あんたなら入るでしょ!」
「え、待っ、ぎやあぁ―――――!!」
悲鳴、本日2度目。
かくして、とばっちりを受けたカイトも、着せ替え人形と化すこととなった。
めでたしめでた…
「めでたくないっ!」
「めでたくないよぉ…何で俺まで」
***
余談ではあるが、レンは30パターンくらいの服を着せられ、ポーズの指定を受けては写真を撮られていった。カイトも同じく。
その写真はというと、人数分に焼き増しされ、皆が持っているという。
レンの分もあったのだが、いらない、と断り、マスターの手に渡った。そのことをレンは知らない。
神威曰く、着せ替えが終わったときの双子の様子は正反対だったらしい。
リンは大変満足したようで、ずっと上機嫌であったのに対し、レンは死んだ魚の目をしていたそうだ。
カイトはというと、部屋に戻りアイスをやけ食いしたとのこと。
その後しばらくレンとカイトは人生ゲームをしたがらなかったらしい。
しかし男性陣の立場はそれはそれは弱いもので、参加しなければ即座に負け確定、というルールのもと、しばしば人生ゲームが行われた。
「神威さん、今日は神威さんも参加して下さいね」
「る、ルカ殿…。いや私は銀行を…」
「して下さいね」
語尾に音符マークがついているような話し方でルカは言う。
こうして犠牲者は増えていった。
今日もまた、男性陣の悲鳴が響く。
罰ゲームと着せ替え人形【ストレス発散でレンに八当り】
こんばんは!お久しぶりです、ミプレルです。投稿するのは2ヶ月弱ぶりです。しかも本編じゃないってどういうことなの。さらには良い双子の日なのに全然関係ない話なんてどういうことなの。
良い双子の日を意識したわけではなく、あまりに投稿していなくて、それこそ死んでるんじゃないかって思われそうなので、生きていますよ~という報告も兼ねて小ネタを投下。それから、タイトル通りストレス発散です。
何なんでしょうね、2学期という名のこの地獄!今日期末テストですよ…!そして明日もテストだよ!何やってるんでしょう私。現実逃避ですねわかります。
そして良い双子の日ように書いてた小説が間に合わなかった…。10時の時点で三分の一しか書けていなかったという…。確実にむりぽ、と思いまして。
そうしたら何故かレンを無性に苛めたくなってですね、ダーッと書いていたらいつの間にか4000字越した←
この時間で良い双子の日用の小説完成してたんじゃないか自分…orz
そういえばこの小説内でリンとレンの身長が同じだというようなことをミクが言っていますが、正しくは二人には4cm身長差があります。それがまた萌える!(殴
なのでどちらかというとレンとミクのほうが身長が近いです。何だか誤解を招きそうだったので一応念のために。
初めは可哀想なめに遭うのはレンだけだったのですが、兄さんも巻き込まれました。兄さんはそういう人ですよね!
それでは、読んで頂いてありがとうございました。何だこの長い後書きは。感想、誤字脱字の指摘等、お待ちしております。コメント頂けるとそりゃもう跳んで喜ぶやつですので、お暇でしたらしてやってくだs(ry
全然良い双子の日と関係ない話でしたけど鏡音愛してる!そして鏡音に関わっている皆様も愛してる!素敵な曲、イラスト、詞、小説をありがとうございます!リンもレンも大好きだ―――――っ!!!←結局はこれを言いたかった
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ご意見・ご感想
ミプレル
その他
翠空様
はじめまして、ミプレルと申します。コメントありがとうございますー!
はまっただなんて恐れ多い…!すごいだなんてとんでもないです…。私も日々勉強中の人間です。ですがお褒めの言葉、ありがとうございます!少しでも良いものを書けるように頑張ろうと思いますっ!
ブクマまで!こ、光栄です…!ありがとうございます!またよければ読んでやって下さいませ^^
2009/12/06 18:59:33
ミプレル
その他
コメントありがとうございます…!
もうコメントほど嬉しいものはないので…自分の投稿したものに対して反応が返ってくるというのは本当に有り難いです。
銀翼 紫苑様
お久しぶりです!またまたコメントありがとうございますっ!!
面白い、なんて勿体ないお言葉…楽しんで頂けたなら何よりです^^
兄さんはきっとそういうキャラです←
レンの女装に関しては詳しい描写はいれていませんが割愛ということで。銀翼 紫苑様のご想像にお任せします!
あんな服やこんな服を着せて嫌がらせを楽しんで下さいませ!←
読んで頂いてありがとうございました!またお暇でしたら覗いてやって下さいね!
Ж周Ж様
はじめまして!ミプレルと申します。
コメントありがとうございます!
ナースもスク水もどんどん着せちゃって下さい!
きっとリンと周様の頼みとあらば嫌々ながらにレンは着てくれます!←
カイトはこういう立ち位置です。めーちゃんには敵わないのだと思います…
カイトの女装も結構見掛けますよ!
髪が伸びていたりするので誰だか一瞬わからないのですが…
読んで頂いてありがとうございました。亀にも及ばぬ更新速度ですが、また読んで下さると嬉しいです…!
2009/11/28 00:46:13