四枚目:
小学生の頃、
ちょっとした事がきっかけで虐めにあった。
いかにも幼稚で古典的なやり方で受けたが、
最初の頃は我慢した。
給食に虫の死骸を入れられたりとか、
黒板に自分の悪口を書かれたりとか、
どの学校でもありそうなものばかりで、
こういうのは、無視が一番効果的だと、
強がって必死に耐えていた。
中学へ上がってからも相変わらず虐めは続いた。
自分が弱いのがいけないのだと、
ひたすら自分を責めながら日々を過ごした。
異性からは、気持ち悪いと避けられてばかりだった。
席替えで隣の席になった人は、必ず机を離してきた。
嘔吐する者もいた。
席替えがあった次の日に、
隣の席の子が欠席した事もあった。
そんなに自分は気持ち悪いのだろうか?
そんなに自分は醜いのだろうか?
そんなに自分は、
人として見られていないのだろうか?
近くにいるだけで本気で嫌がるクラスメイトを見ていると、なんだが自分が生きていちゃいけない気がした。
放課後、学校近くの神社へ行った。
長い階段を登り、誰もいない廃れた建物を見渡す。
それから、賽銭箱の前で腰を下ろし、
俯きながら歯を食いしばって泣いた。
悔しかった。
悔しくて、悔しくて仕方がなかった。
今までされた仕打ちを思い返しながら、
飽きるまで泣いた。
泣けど喚けど、
自分の泣き声が虚しく響くだけだった。
ズボンのポケットからスマホを取り出し、
電源を入れる。
クラスチャットを開いても、自分の悪口ばかり。
彼らにとっては面白いのだろう。
文脈から罪の意識を感じられない。
あぁ、もう嫌だ。
これ以上、こんな世界に居たくない。
あぁ、自分だけに都合のいい世界があったらな。
そんなくだらない妄想を頭の中で繰り広げていたら、
いつの間にか陽は沈んでいた。
真っ暗な静寂の中、狙ったからのように、
突然睡魔に襲われる。
そして、死んだように眠りについた。

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名無しの手紙(四枚目)

閲覧数:32

投稿日:2023/02/09 14:00:01

文字数:795文字

カテゴリ:小説

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