ああ 眩しいね 湿っぽいね
夏の匂いだね
ああ 見えないね 見えないね
君がいなくなっちゃった
上り坂 てっぺんの入道雲
君と分けた 綿あめに似ている
早咲きのコスモスが
熱風に煽られて
独り萎んで縮んで
誰も気づかないまま
今 君が笑う
窓ガラスが境界線になって
熱と冷風に揺らいでる
僕は何も言えない
下り坂 脇道にエノコログサ
沢山摘んで ぜぇんぶ枯れた
大人は知らんふりで
子供にはわからない
そんな狭間の時間を
共に駆け抜けていた
のに 君は滲む
磨りガラスが境界線になって
ふたりずれていく 離れていく
僕は手も伸ばせない
僕が何をしてるか
君は知らないだろう
君が何をしてるか
僕も知らないから
それなのに 君は笑う
おかしそうに「酷い顔をしないで」
きっとまた会えるよ また会えるよ
そしていなくなっちゃった
今 僕も進む
磨りガラスの境界線を越えて
ペンを走らせる 走らせて
全てある夏の思い出(こと)
ああ 眩しいね 湿っぽいね
ああ 寂しいね
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