私を引っ張った人物は…
レンだった。
「レ…ン?」
レンの顔をのぞき込んでみると怒った表情だった。
でも、耳まで真っ赤になっていた。
「レン?どうしたの?私これから更衣室に行かないと…」
「…そうだな。いきなりごめん……。」
いつもと違う雰囲気を持っているレンに私は戸惑った。
「じゃあ、私行くね?レンは掃除に戻った方が良いよ。」
「……うん。」
更衣室に行ってもずっとさっきのレンのことを考えていた。
やっぱりいつもと違う。いつものレンは大きな声で話すし、元気で。
何よりいつも笑顔だった。
だけどさっきのレンは、静かだし、怒ってた感じだし、急に男の人になった感じがした。
どうしちゃったんだろう…。
そんなことをずっと思いながら私は体操服に着替え、教室に戻った。
今ならまだ掃除は終わってないはず。
勢いよく教室にはいると、なんだか空気がピリピリしている。
みんなの目線がある一つの方向に向かっていた。
私はその視線を辿ってみた。
その視線には、さっき遊んでいた男子たちとミクだった。
ミクは男子たちの首根っこを掴んでいた。
「ちょ…!ミク?!何してるの!」
「あっ、リンちゃん。」
ミクはそう言うとその手を離した。
「だって私のリンちゃんを…!!」
「ミク……、ありがとう」
私は蔓延の笑みで泣きそうなミクに言った。
キーン コーン カーン コーン
キリの良いところでチャイムが鳴った。
勿論このチャイムの意味は掃除終了。
クラスメイトたちがみんなこの教室に戻ってくる。
ミクはそのチャイムが鳴ると、さっきの男子たちのところへ行った。
そして、殺し屋の目をしながらの笑みで
「今度リンちゃんに何かしたら、本当に貴方達を倒します」
と、男子たちに告げた。
……ふつうに怖いよ……ミク…。
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