さてさて、続きいきます~。
※注意
・カイメイ風味があります。・時代設定が、若干ズボラです。
・あくまで、私の想像です。キャラクターイメージが違う、というところがあるかもしれません。
・KAITO→海斗、MEIKO→芽衣子、となっています。
・名前の捏造っぽいところがあります(がくぽ→樂十とか)
・自己設定の、架空のものが出てきます(例えば、妖怪だとか)。
以上のことが、OK!という方だけお読みください。
「話を戻そう。それを倒すのには、とある剣が必要であると言われている」
海斗がドッペルゲンガーのことについて回想をしている最中も、樂十は彼にかまわず話を続けていた。
「とある剣‥ですか?」
むしろ全くの無関係なはずの蓮の方が興味津々である。
「うん、それは、〝紅刀〟と呼ばれている、その名の通り紅の剣なのだが‥‥」
なんとなく渋ったような樂十の口調に、
「ただの刀じゃない、しかも何かいわく付きである──そうですね」
回想から舞い戻った海斗がその先を当てた。
「‥‥相変わらず鋭い勘をしてるなぁ君は。一応それに答えてあげないとね」
一瞬動作が止まったが、苦笑混じりにそう言ったあとで、
「──その通りだよ、海斗君」
「やっぱりそうでしたか、そうと思っていましたよ、だってあなたは──」
わずかに口元を微笑させたあと、無造作に言葉を切る海斗。
「いや、あなた自体が、僕にとっては何よりも‥‥不思議な存在ですからね」
彼の目の奥に、わずかではあるが鋭い光が宿った‥‥。
──‥な‥何よ‥今の言葉と眼は‥‥。
それは、誰よりも長い間、一緒に過ごしてきた芽衣子でさえ、心中を察せないぐらい──。
「不思議だね。‥‥君には、僕の眼には見えないものが見えているようだ。君に相談して正解だったよ」
そんな樂十の言葉に、海斗はふっと微笑んで、
「話を戻しましょうか、樂十さん」
とだけ言った。
「──その通りだね。コトがコトなもんだから急がないと‥‥」
「そうですよ、樂十さん」
2人がそんなやり取りをしている間も、芽衣子は少し、海斗のことが怖くもあった。
──私がいない間に‥海斗‥‥恐ろしいぐらいに変わってる‥‥。
「その、紅の刀、でそれを倒せばいいのではないのですか?」
「それがねぇ‥それができるのなら、君たちに相談してもいないし、自分たちで刀を取ってきて、それを倒してるよ」
うんざりした、という感じにそういう樂十。
「腕の立つ武士でも、簡単に取りに行けない、ということですか」
まるで、起きた事実を冷静に分析する研究者のような口調で、しゃべっていく海斗。
「うん、最初は僕も腕の立つ武士に頼み込んだんだ、さすがに彼らなら取りに行けるだろうし、彼は自分から名乗り出ていた。僕が打ち首にされる心配も無い」
今まで、たった一人、黙ってその言葉を聞いていた者──蓮が口を開いた。
「随分と意外に図々しい考え方してるんだな」
「‥な‥‥っ!!蓮‥!!」
蓮を見た鈴が、はっと振り返って彼の元へ駆けていくと、
「ちょっ‥‥!樂十さんに向かってなんてことを言うの!失礼でしょ、謝りなさい!」
そう言って無理やり彼の頭を下げさせようとするが、
「‥っせぇな、思ったことをそのまま言っただけだろ?第一、なんでお前がそんなに怒るんだよ?本人怒ってねぇのに」
その言葉に、とっさに樂十の方を見た芽衣子。
「まぁまぁ、そんなに怒らなくていいよ、鈴ちゃん。彼も悪気があった訳じゃないだろうし、あながち間違っちゃいないことだ」
次に出てきた言葉に、更に驚く鈴と芽衣子。
「僕が死んでしまってはこの事件、誰が解決するのかな?自らの首を絞めるようなことはわざわざしない。だから、間違っちゃいないってことだよ」
──‥この人‥いろんな意味ですごいわ‥‥。
「蓮君を解放してくれるかな、鈴ちゃん?」
「あ、うん‥‥」
海斗は、その間、なんとなく穏やかなその表情を、じっと見つめていた。
──‥悪意はなさそうだし‥そういう人独特の気配も感じられない‥それでいて‥悠然とした平静な態度‥‥。
「じゃあ、話を続けようか。ごめんね、話を切っちゃって」
──さっきはあんな風に言ったけど‥この人‥一体何者なんだろう‥‥?
口に出すのはさすがにマズイので、心の中でつぶやいた海斗。
「その刀というものは、ここから少し言ったところの、山道付近にある、ある1つの洞窟の奥に保管されているらしいんだ」
──めーちゃんに怖がられると思うけど‥下手な発言や、おおっぴらな感情表現はやめとこう。
「今まで、その武士たちに取りに行ってもらったんだけど、結果は全滅。誰一人として取って来られなかった‥いや、こう言ったほうが分かりやすいかな──」
ふぅっとため息をついた後、そう言葉を切る樂十。
「誰一人として戻って来なかった」
「‥‥洞窟で迷っただけなんじゃないんですか?」
冗談半分、半信半疑というか、ほとんど信じていない、という口調でそう言った海斗の言葉は、
「いや、普通の大人なら、どう迷ったとしても、出てこれる洞窟なんだ」
という、樂十の言葉に切り捨てられてしまう。
「証拠は?」
海斗がそう言うと、樂十は、何やら、懐から墨で描かれた地図のようなものを取り出して、畳の上に置いた。
「これが、その洞窟の地図だ。僕は小さいときに、偶然、よくこの洞窟に遊びに行ってたもんだから、その記憶を頼りに書いてみたんだ」
──これが地図かぁ‥‥(海斗)。
──なるほど、これと言ってあまり特徴の無い洞窟だな(蓮)。
蓮の思った通り、大抵の、というか普通の大人なら、絶対に迷わないと言ってもいいぐらいのシンプルな構造である。
「ところがだよ、誰も戻って来ないことに困り果てていたときだった──」
──某日。
「‥はぁ‥なぜに戻ってこない?迷うはずの無い道なのだが‥‥」
木の椅子腰掛けて樂十はそうため息をついた。
「樂十さぁん!」
近所の子供たち、仲良し三人組の子のうちの1人が、樂十の方へ駆けて来た。
「この間ね、樂十さんが言ってた洞窟に行ってみたの!」
「‥‥っ!!ほ、本当かい?」
驚きだった。腕の立つ武士たちが戻ってこれていないのに、まだ年端も行かない幼子が戻って来れたのだから‥‥。
「うん、僕だけじゃないよ?僕の友達と3人で行ったもん」
「──そこでだ、まさかと思ってその子たちを、もう一度洞窟に行かせてみたんだ」
「‥ということは‥‥」
「見事、3人とも、無傷で怯える表情1つなく戻ってきた」
──‥‥‥っ!!それって‥‥。
「この結果から、この洞窟は、子供だけが戻ってこれるんじゃないか、という結論に至った」
そう言ったあとで、海斗をじっと見つめる樂十。
「ここまで言えば分かるね、海斗君」
「‥‥‥」
「君に紅刀(くれないとう)を、洞窟から持ってきてほしい、これだけだ」
「‥言われなくても分かってます」
このやり取りを聞いた芽衣子が即座に反応し、
「‥そ‥そんなこと‥そんな危険な洞窟に‥海斗を、しかもたった1人で向かわせていいわけ‥‥っ!!」
そんな芽衣子の前に、スッと無言で片腕を出す海斗。
「か‥海斗‥‥?」
「大丈夫だよ、めーちゃん。心配しないで」
海斗はそう言ったあとで、樂十に歩み寄ると、彼をじっと見て、
「樂十さん──」
「なんだい、海斗君‥‥?」
そして、樂十の目の前に、人差し指を立てると、
「一日‥一日だけ考えさせてください」
「──もちろんだよ、僕の方が無理を言って頼んでるんだ。君にはその権利がある」
樂十がそう言い終えると同時に、近くにいた芽衣子が、
「‥海斗‥あの‥‥私‥」
「めーちゃん、心配しないで。大丈夫だから」
彼女に向き直ってから、先ほど言った言葉を、もう一度芽衣子に言い聞かせる海斗。
「もし、行くことになったとしても、必ず戻ってくるよ」
そう言って、海斗は優しく彼女に微笑みかけた。
コメント1
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ご意見・ご感想
enarin
ご意見・ご感想
今晩は!、続き、拝読させていただきました!
なるほど、ドッペルを倒せる武器のある洞窟を突破できるのは、子供だけ。行った大人は帰ってこない・・・。樂十はまず最初に自分で行こうと思ってなかった・・・。
まさに今回は、海斗vs樂十のさぐり合いになりましたね。そしてお互い何かに感づいたようで・・・。
まだまだ謎をはらむ展開!。楽しみです!。
ではでは~♪
2010/05/03 18:50:14
愛夢☆ソライト
>enarinさん
ご拝読ありがとうございます!いつも、わざわざお読みいただいて光栄です(_ _ )ペコリ
そうなんですよ?、道順を知っているにも関わらず、自分で行こうとはしなかった樂十。ここがこのあと、彼の正体を解いていく上でも、大事なことになっていきます。
説明の方にも載せましたが、樂十が得体の知れない人みたいになってる、しかも、海斗が冷静過ぎる、と思ったのは事実です^^;まさに、これじゃ探り合いそのものですからね^^
次々と謎が深まっていくこの展開、芽衣子だけ着いて来れていないようですが、まだまだ謎は続きます!
これから構想を練っていきたいと思います、でゎ?☆
2010/05/04 06:21:01