ピピピ・・・ピピピ・・・

枕元で不快なあの電子音がなる。

どこの一般家庭でもありふれており、主に朝になる電子音

人の惰眠を妨害するこの音は、言うまでもない、目覚まし時計のアラーム音である。

「ん~・・・・」

幸せな、全てのことを忘れさせることのできる時間。

睡眠。

それを妨害する音に、俺は悶える。

どうやら、朝が来てしまったらしい。

朝は嫌だ。眠いし、嫌なことの始まりでもあるからな。

ピピピ・・・ピピピ・・・

そんな俺の気持ちが届くはずもなく、

電子音は俺を起こすまいと容赦なく鳴り響く

ピピピ・・・ピピピ・・・

「あ~わかったよ・・・起きてやるよ・・・」

俺は結局観念して、起き上がることにした。

と、俺が目を開けて最初に目にした光景は・・・

「ピピピ・・・ピピピ・・・」

「ってお前かよっ!!」

電子音を声だけでほぼ正確に再現してるミクだった。

「あ、マスター。おはようございます。」

ミクは笑顔で言った。

「お前な~・・・休日ぐらい寝かせろよ・・・」

俺は低血圧気味で若干不快そうな、それでいて眠そうな顔で言った。

「さて、マスター。ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも・・・」

「お前はいらん。そして今は朝だ。そんなことを言うべき時間じゃない。」

「ちぇっ・・・マスターノリわる~・・・・」

ミクは残念そうな顔で言った。そんなもんはノリ良くても乗っていいもんじゃない。

「だって、世の中には変態紳士とかいう人がいるって聞いたから、マスターもそのうちの一人なのかな~と思って。それでマスターが喜びそうなシチュw((

「勝手な自己解釈はよせ。そしてどこで覚えたんだそんなもん。」

俺はミクを軽く頭を叩きながら言った。最近こいつが俺に対するイメージが危うくなってる気がするが大丈夫か?

「大丈夫だ。問題ない((キリッ」

よくわかったな。俺がやろうとしてたネタを。

「これでも某動画サイトで某ゲームのネタにマスターがはまってることは把握済みですから。」

いつの間に・・・誰か内通者とかがいるんだろうか・・・?ちなみにその某ゲームを俺は持ってない。

「とりあえず飯だ。腹減った。」

俺はミクを追い出し、着替えて下に向かった。

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朝食を食べてる途中、ミクが聞いてきた。

「マスター・・・スランプは治りましたか・・・?」

スランプ。

ここ最近は、どうもミクに歌わせたい歌詞が思いつかない。

飽きたわけではない。ただ、突然思いつかなくなったのだ。

「・・・悪い。まだだ・・・」

俺は申し訳なさそうに言う

「そうですか・・・治るまで待ってるから安心してください。」

ミクは笑ってそう言ってるが、

わかってる。これは作り笑顔だ。

ボーカロイドは歌を歌うのが存在意義でもある。

だが、最近歌えないことに心身が病んでるのかもしれない。

遺伝子学と機械学の技術の結晶でもある、究極のアンドロイド。

それまで機械が持ち得なかった「感情」、「心」を持った機械でもあり、生き物でもあるそれ。

いや、ここまできたら最早人間そのものだ。平和のシンボルとしてあくまでボーカロイドとして生まれた固体。

俺との生活を通してほぼ完全に人間に近しい存在になった。

だからわかる。ミクの気持ちが。

俺はミクを苦しめてることに罪悪感を覚えていた。

だけど、どう頑張っても思いつかない。

どうすればいいのだろう・・・・

俺は・・・いつになったらこれが治る・・・・?

どうすればいい・・・誰か教えてくれ・・・

まるで暗闇の中に閉じ込められたように、俺の心は彷徨っていた。

食器はミクが洗ってくれた。

「私は大丈夫ですから、マスターは自分のスランプを治すことに専念してください。」

とのこと。気遣ってくれてるミクに余計申し訳ない気持ちになってた。

部屋に戻り、椅子に座りながら、天井を仰ぎ見て、考えても思いつかない歌詞を延々と考える。

・・・そんな毎日ばかり繰り返していた。

続けようかな?


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

マスターの苦悩~スランプ~

とりあえず、マスター(自分)がスランプ状態で、もし隣にミクがいたら・・・というの考えて書きました。

まあ実際スランプだったんですが。

歌詞思いついても、もっといいのがあるんじゃないか?

と考えている内に気が付くと何にも考えられなくなったって感じです。

後はあんまりここに顔を出してなかったし、これといって投稿してなかったからなんですが・・・(汗)

このままじゃまだオチてないので続けようかと思います。

閲覧数:64

投稿日:2011/06/03 16:48:33

文字数:1,742文字

カテゴリ:小説

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