幼き人魚がおりました。
それは、とても哀しい結末の。
愛する人の言語と引き換えに、愛を叶えねば死んでしまう。
そんな呪いを魔女にかけられて。
人魚には時間がありません。
タイムリミットまで、あと8日。
この恋は叶うのか?
それとも……?
先日の夜のコトです。
海賊にやられ、海に落ちた王子を人魚は救いました。
海辺に王子を横たえると、人魚は歌い始めます。
綺麗な歌には癒やしの力が宿っておりました。
王子は目覚めましたが、王子は目が見えなくなっておりました。
王子を救ったと嘘をついたのは、王子の幼馴染でした。
王子は彼女を愛します。
そんなふたりを見て、人魚は思います。
「幸せになってね」
私の分まで。
体を重ねたふたりに、人魚は祝福の歌を歌いました。
その歌を聞いた王子の目は薄っすらと見えてゆきます。
そして、王子は気づきます。
(僕はなんてコトを!!)
王子は走ります。
すがりつく彼女が見えていないようでした。
そして、見てしまうのです。
崖の上から煌めく星々を見上げ歌い続ける人魚の涙を。
人魚は儚く消えてゆきます。
「愛してました」
そう、つぶやくと、海に身を投げ捨てて。
「消えるな!!」
王子は後を追おうとします。
けれど、出来ませんでした。
捨てた筈の彼女がしがみつくのです。
「あたしだって、ちゃんと愛してるんだから!」
王子は振り返ると彼女を振り払いました。
呆然とする彼女に王子は言います。
「君は嘘をついた」
「僕のほんとは君を愛してなどいない!」
彼女はポタリ、大粒の涙を流しました。
そして、俯くと、王子にもう一度抱きつきました。
けれど、その時、彼女は王子を刺し、王子は崖から堕ちてゆきました。
王子は救いを求めるように彼女に手を伸ばし、彼女もまた王子を救おうと手を伸ばしました。
そして落下する中、王子は言ったのでした。
「もういいよ。生きな」
ジャポン! ブクブク……。
王子は海になり、愛する人魚と添い遂げる。
それは、救いなき世界の一ページ。
end
儚き人魚(短編小説)(コラボ用)
下手っぴですが、ショート・ストーリーですorz
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