遠くを見つめる少女
それを見つめる僕は彼女が何を考えているのか分からない
収穫間近の林檎を眺めて僕は呟く
「今年は例年以上になりそうだ」
淡い期待を込めて収穫を待ち望んだ
風が頬を撫でてその時は来た
重力に関係なく落ちる果実
それを受け止める僕の手は間に合わず
冷たい地面に落ちていく
「ごめんな、君を分かってやれなくて」
そう呟いても変わらないのに
「落ちてしまったら価値が無いと
君はそう思ってるんだね
それは勘違いさ」
君を失えば、僕は誰の温もりを頼ればいい?
その心に触れることさえ出来ずに
ただ、彼女を想う
禁断の果実は誰の唇を奪った?
少女に上手く話すことさえ出来ずに
ただ、時間だけが過ぎて
主張すら希薄な少年
「どうか、僕を信じて」
少女を見つめる少年
そして、過ぎていく刹那、彼女が何を考えているのか分からない
収穫終わりの季節に彼女が呟く
「貴方の隣に私は居ない」
儚い願い込めて来年を待ち望んだ
甘い匂い香り終焉へ向かう
運命に関係なく朽ちる果実
その針を止める僕の手は届かずに
「ごめんな、君に構ってやれなくて」
どう呟いても戻らないのに
消えてしまったと勘違い
僕はまだ此処に居るから
傍で笑うからさ
君を失えば、誰の言葉を信じればいい?
君の涙触れることさえ叶わず
ただ、夜空に祈る
禁断の果実は誰の純潔を望んでいるの?
その体に触れることさえ赦されず
ただ、僕は思う
熟した果実 優しい嘘
「どうか、幸せになって…」
【台詞】
愛した人が幸せになってくれるなら僕は進んで身を引こう
君と育てたこの林檎を躊躇いもなく齧る
僕は視界が狭くなり悶え苦しんだ
自らの罪と罰の味を噛みしめて…
(君が…何か話をしている、それがなんなのかもう分からない)
(嗚呼、この林檎は僕にとっては毒だったんだ…)
最期に笑顔を浮かべた少年は
何処か遠く虚空を見つめている
昔を懐かしむように…
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