あの日から、
わたしは歩みを止めたまま
草音(くさおと)に振り向いては
居ない貴方の名を落とす
星を見上げて、
伸ばした手に凍(こお)る空
手繰(たぐ)るように、きゅっと
幾つの時が過ぎたでしょう
花が散り
蝉が鳴き
高き空に馳せる雲
白き雪に埋もれる世界
貴方の記憶は、薄れぬままに
どうか、お願いです。
この手を取り、貴方の傍へ
連れて行ってくださいまし
あれから、
立ち止まったままのわたしは
風に背中を押されては
貴方の名前を想います
星を見上げて、
伸ばした手を包(つつ)む温もり
縋るように、そっと
多くの時が過ぎました
花が咲き
蛍(ほたる)舞い
高き空に満ちる月
白き世界に六花(むつのはな)
貴方の記憶は、消えないままに
どうか、貴方さま。
違う手をとり、再び
歩み出すこと お許しください
幸せに咽(むせ)ぶ この心
癒してしまっても、良いですか…?
貴方ではない手に
貴方ではない、温もりに
痛みを抱えて
生きられないわたしを許して
貴方を置いて
生きるわたしを
破った約束が
いつか、
果たされたその時は
わたしをお叱りくださいまし
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