:~一番サビ前 モノローグ:

ベッドの上で体育座りをし、視線の焦点を定めないまま。
曲がった背中が痛くなってきた私は、ベッドに寝転がる。
静かに目を閉じると、まぶたとまつげの重みが伝わってきた。
体が重い。
今まで耐えてきたストレスや緊張が、一度に落ちてきたよう。
そのまま、ベッドだけでなく、床や地面にまでも、沈み込んでいきたい。
目も開けたくない。
このまま溶けて、消えて、無くなってしまいたかった。
自分の世界に沈んだまま、誰にも見つけられなくなるのだろうか。
――もう、それでもいいから。
何も聞きたくない。
見たくない。
嗅ぎたくない。
触れたくない。
考えたくない。
――わたしを、独りにして。


――だけどこのまま、どこまで沈めばいいんだろう。
何をすればいいんだろう。
自分の世界に沈んだまま、一日を過ごすことも出来ないだろうし。
うっすらと目を開けて、同時に五感を少し、働かせる。
すると、音楽と一緒に、一筋の光が差し込んできた。
だけどそれも、波に呑まれて、見失った。
今の私のようで、今の私に対する、神様の罰だとも思えた。
その光は。
いつか見た、けれども新しい、暖かい光だった。


――なんだろう。
目を閉じながら、思った。
けれど、あの暖かい光は今の私には喪失感を大きくするだけだった。
沈む速度が、速まっている気がする。
ああ、このまま目を覚ましたくない。
誰にも、会いたくない。
こころの中のわたしは、人魚のしっぽが生えかけていた。
うろこが、無意識か、光を受けてか、光った。
――このまま続く深海で、このしっぽで、ずっと泳いでいたい。
そうすればきっと、何かを忘れられると思うから。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

深海少女@モノローグ 1

ゆうゆPさんの「深海少女」をノベル版で。
皆さんが思っているものとは全然違うと思います。
モノローグなので、きちんと物語にしたものを、あとで別に書くと思います。

閲覧数:198

投稿日:2010/09/20 20:19:24

文字数:710文字

カテゴリ:小説

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