＃１７－２「みんないないから貸し切り」



ミクとルカが大浴場にいくと、人の数はまばらで、ほとんど貸し切り状態だった


「わぁ！すごい広いね～」

「ほんとね。こんな広いお風呂を私たちで独占していると思うと、まるでお姫様にでもなった気分ね」


ミクはそういうルカを見て、ルカさんなら、きっとお姫様になっても綺麗なんだろうな、と考えていた







そのころ…あの人たちは…


「あ！寒い先輩！バス停ですよ！意外と近かったですね！でも、目的地はもう一つ先ですね！」

「…はは…もう拙者はクタクタでござるよ…」


2人分の荷物を持っているがくぽは体力的に辛かった


「寒い先輩、だらしないですね…。私なんて、まだまだこんなに元気ですよ！！」

「なら、この荷物、自分のくらい持ってほしいでござる…」

「さぁ！あと少し！ささ、レッツゴー！」


やっぱり、がくぽの声はグミに届かないのであった







ミクはお湯につかりながら、となりにいるルカをみていた


「ミクちゃん、どうしたの？」

「…え？あ、いや…なんでもないです！」


ミクは見とれていたとは言えず、焦って思わず敬語になった

ルカはお湯に髪をつけないように、いつもと違う髪形をしている。それだけでも、新鮮だった

そして、いかにも女性らしい体のラインとしぐさで、実に美しい

それは同性のミクから見ても、見とれるほどで、うらやましかった



「ん？変なミクちゃんね。ふふ」

「ねぇ、ルカさん…私もルカさんみたいに大人の雰囲気のある人になれるかな？」


ミクはもじもじと恥ずかしがりながら、ルカにたずねた


「そうね、私がそういう雰囲気があるかはわからないけど、ミクちゃんなら、あと数年したら、私なんかよりも素敵な女性になると思うわ」

「え？！ルカさんより！？……///」


ミクは自分の将来の姿を想像し、恥ずかしくなりお湯にもぐった





「ねぇ、ミクちゃん。私、ミクちゃんにお願いがあるの」

「……ぷはっ！何？」


ミクは顔をお湯にもぐっていたので、ルカの声が良く聞こえていなかった


「私、ミクちゃんにお願いがあるんだけど、いいかな？」

「ルカさんが…私に？」


ルカがうんと顔をふる


「なに？ルカさん？」

「そのルカさんっていうのなんだけどね……ミクちゃん、メイコさんのことメイコ姉さんって呼んでいるでしょ？私のこともルカ姉って呼んでくれないかしら？」

「え？」

「だって、やっぱり【さん】だとちょっと他人行儀みたいで……ほら、リンちゃんやレン君は私のことルカ姉って呼んでくれるでしょ？」


確かにミクはメイコをメイコ姉さんと呼ぶが、ルカの事をルカ姉さんとは呼んでいない

別に意識していた訳じゃなかったが、ミク本人もこの時、初めてその事実に気がついた


「わかった。今度からそうするね、ルカ姉さん」

「ふふ、ありがと。ミクちゃん。さぁ、そろそろあがりましょう」

「うん！」