halP様「恋するアプリ」を聴いていて、浮かんで来てしまったストーリーです。
「こんなイメージ思い浮かべた人もいるんだ」くらいに受け取って下さると幸いです。






――――――― 三章

 僕が君と出会って、四季が一巡りした頃。君が好きな桜の季節。
 いつも以上にふんわりと笑うことの多い君の顔を見て、僕もいつも笑っていた。
 君の顔が見れること。
 君が笑っていてくれること。
 君の歌が歌えること。
 その全てが僕の喜びだった。

 …でも。

『KAITO、この曲…歌って欲しい、な』

 そんな春のある日。
 珍しく、おずおずと、そんな言葉を添えて届けられたデータは、あまりにいつもと違っていた。

 「誰か」に宛てて作られた、切なく真っ直ぐな恋の歌。
 募る想いがあふれ出して、カタチになった恋の歌。

 メロディと言葉が歌となって僕に巡った瞬間、…今まで積もっていた「何か」が、黒く重く染まるのを感じた。

 ソレハ。
 深刻ナ。
 …えらー。

 VOCALOIDの僕が、歌う為のアプリケーションが…、歌いたくないと思うなんて。

『KAITO。歌って?』

 それでも、不安そうな顔で繰り返す君に応えて、僕は「アプリケーション」として、貰ったばかりの歌を口にした。 
 その歌に、今まで以上に真剣に聴き入る君を見て、僕はやっと「何か」の正体を悟った。

 確かに、はじめてのことだったから、…当てはまることを探すのに時間がかかったのかもしれないけれど。

 君に会えると嬉しくて。
 君を「抱き締める」と幸せで。
 君を知ると誇らしくて。
 …君が、誰かを見ていると、こんなにも寂しくて。
 君が、誰かを思っていると、こんなにも、苦しくて。
 


 これってきっと、いわゆる―――

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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【妄想小説】恋するアプリ 三章

幸せの最中にいる時には、なかなか自分が幸せだと気付くのは難しいからこそ、こういう形で自覚することって多いように思います。

…ここに書くことを考えるのが一番の悩みごとになりつつありますw

懲りずに続けます。

閲覧数:175

投稿日:2009/07/17 00:34:50

文字数:752文字

カテゴリ:小説

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