それと同じ頃、ボーカロイドの家。家にはルカとミクがいた。ミクは自分のライブが近く、その練習に明け暮れていた。今日は久しぶりの休みである。しかし、ミクはため息をつけいてばかりである。
 「ミク、ため息ばかりついて、どうしたの?」
 「ルカ姉、聞いてくれる?」
 「良いわよ」
 笑顔でこたえるルカ。
 「…あのね、最近雅彦さんがあまり私に構ってくれなくなったの」
 「具体的に雅彦君がどう変わったの?」
 「私が雅彦さんの部屋にいくと、たいていは私を部屋の中に入れてくれて話をしてくれるのだけど、最近はタブレットで何か読んでいることが多くて、そのせいで、あとでっていわれるの」
 その様子を思い出して、再びため息をつくミク。
 「確かに、最近の雅彦君は家の中でもいつもと様子が違うわね。前と比べると、部屋の中にこもっていることが多くなった気がするわ。ミクは雅彦君がそうなった原因の推測はできているかしら?」
 「やっぱり、沢口さんだと思います」
 「ミクもそう思うわよね」
 最近雅彦は、家庭内でもよく沢口のことを話題にする。もちろん、それはミクやルカも聞いていた。
 「雅彦君は、沢口さんのことを話す時は、とても嬉しそうに話すのよね」
 「…はい」
 ミクは複雑な表情である。確かに沢口は親しみやすいし、雅彦も知り合いが増えたことで嬉しくなったのだろう。そんな複雑な表情をしたミクを見て、ルカは何か考えついたようだ。
 「…ミク、ひょっとして、沢口さんに嫉妬してない?」
 「嫉妬ですか…」
 ミクが悲しそうな顔をする。
 「そうよ、本来なら雅彦君がミクのために割いている時間が、沢口さんと知りあったことで、沢口さんに時間を割くようになって、ミクが割を食ってしまった、…というのは、ミクが沢口さんに嫉妬する動機としては十分ね」
 「でも、嫉妬だなんて、そんな…」
 ミクは嫉妬という感情をよく思っておらず、自分が嫉妬しているとといわれて、困惑したのだろう。その表情を見て、しばらく考えるルカ。
 「大丈夫よ、多分一時的なことだから、ミクが待つことができれば、雅彦君はいつもどおりに戻るわよ」
 「そう…、なのかな?」
 ルカからアドバイスをもらっても、やはりミクは不安なようだ。
 「それなら、雅彦君に自分の不安をぶつけてみなさい。そうしたら、雅彦君だって自分が変わったことがもたらした変化の重大性に気づくはずよ」
 「うん…」
 そんなミクを前に、考えるルカ。
 「…ミク、あなたには落ち着くことが必要よ。私が気分を落ち着かせるハーブを使ったハーブティーを淹れてあげる」
 「ルカ姉、ありがとう」

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初音ミクとパラダイムシフト4 2章20節

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投稿日:2017/03/08 23:43:46

文字数:1,100文字

カテゴリ:小説

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