―僕には叶えたいことがあったのに…
「お前には無理だよ。」
「お前なんて嫌いだ。」
周りの人が僕を見て笑う。
チクリ、と何処かが痛んだ気がした。
―やっぱり、僕には叶えられないんだ。
そう思うと泣きたくなってきた。
一人になりたくて、家に帰ることにした。
家の扉を開けると、靴を脱ぎ捨てて部屋まで走った。
「……言われなくても、自分には無理だって、分かってたよ…」
一人分のベットの上で、泣きながら眠った。
朝、目が覚めると目が赤くなっていた。
もう誰にも馬鹿にされたくなくて、痛いのは嫌だ。
だから、僕は全部諦める。
―それでも、もしかしたら……って、何処かに諦められない僕がいる。
そんな中途半端なまま何年経ったかな?
諦めきれなくて、失態や醜態を繰り返して、そのたびに傷付いて泣いて。
でも、目が覚める度に泣いている理由も曖昧になっていて。
実態のない感傷に痛みを感じるけど、何の痕もなくて何があったのか忘れていく。
ただ、痛みに酔っているだけ。
いつかは叶う、って信じれば、夢に手が届く気がして、そんな妄想から抜け出せずにいる。
妄想を抱えたまま、笑いながら老いていった。
あの時はあんなに傷付いて、二度と癒せないと思っていた過去も悩んでた理由すら忘れてしまった。
一緒に叶えようと約束したことも散らかった僕の部屋のようなところになくしてしまった。
どんなに過去を振り返っても今の僕を変えることは出来ない。
「――あぁ…もう、どうでもいいや……」
抱えた傷の深さだとか、冷たく積もる孤独だとか、本当は誰も平等に降り注いでいることだって分かってた。
でも、それを認めたら、自分の弱さに気付いてしまうから。
何も変わらずリピートする日々。
その中で、確実に軋んでいく僕の“心”。
その痛みに飽きもせず、一人で嘆いてる。
先の見えない暗い道を歩いていく。
周りには誰もいない。
たった一人で歩く。
何も変わらない日々がリピートしていく中で、本当の痛みを忘れてしまった。
軋んでいく痛みが本当に痛いなら、何かを変えようとしただろうか?
きっと、何か変えれただろう。
痛みを力に変えることが出来たなら。
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