※注意
・１と２は前の展開を改訂してあります。
　改訂版を読んでいないと矛盾点だらけになるのでご注意下さい。
・卑猥な表現を含みます。ご注意ください。




＊




３日後、私は退院した。
手術の痕は生々しく残っていて、まだ痛くて。
どうしようもない喪失感までもが残っていて…

赤ちゃんはまだ生きてる、殺してないと自己暗示をかけることで喪失感は失われつつあった。
いわば、現実逃避。

「どこかにイイコトないかな」

白い粉末を目の前にして、今このときに現実に舞い戻る。
現実直視の自分は何度も自分を救ってくれる。
クスリに手を出したら後には戻れないことをよく知っていた。

(でもそれで忘れることができたら…)
(現実を受け止めないと)

自問自答か自問他答か他問自答か分からないやり取りを脳内で繰り広げることに嫌気がさして、反射的に叫んでいた。

「ああああああ！」

本能的にクオに電話をかけた。
そういえば退院してから一度もクオと会っていない。

「クオ？」

『ミク…ゴメン、本当に。あわせる顔がないよ…』

「いいの…気にしてないから…」

『どうしたの？』

そうだ、電話をかけたのは私だった。
でも言いたいことって何？

「助けて…」

また私はクオを利用して快感を得ようとする。
現実逃避しようとする。

今から行く、と言って切ったクオに「ごめん」と言った。
本当に悪いと思ってる。

触ってほしいのは痛いから、天にも昇れる気になりたいから。
嫌な自分を振り切るためにもあっちにイきたいの。





＊





「ミクっ」

クオが来てくれた。

「クオ…怖い、だから」

全部忘れさせて？




「…っあ」


手術の痛みはやっぱりこたえた。
こみあげてくる痛みと、それに乗じてやってくる何かを必死に我慢した。


「ミク…下はダメ？」


クオの手は首筋を撫でて、私は起き上がった。
「上」で強烈な味を受け止めた。


クオの手首を縛り付けつけるような勢いで握り締める。
クオの優しい顔がめに焼きついた。


「ごめんなさい…」


クオは私の頭をなでた。
私はクオに言ったつもりだったけど、クオはおなかの中に「いた」赤ちゃんに言ったんだと思ったんだろう。


確かに赤ちゃんに会いたい。
でも体内に赤ちゃんはいない！