越えられない壁がある。
それは
それほどの大差はないが……
絶対に越えられない。
今朝はあるものが気になって、早くに学校に着いた。
二学年専用の掲示板にはすでにそれは貼りだされてあった。
今回は――…
「また負けたぁぁぁぁ!!!」
後から登校してきた男子達の
中心で、結果報告。
何の結果かというと
口にもしたくないが
期末テストの結果だ。
「諦めろ、レン」
「そうだぞ。相手は超美少女の帰国子女だぜ。
しかも、英語しか話せなかったのが、
一ヶ月で日本語をマスターしたってゆー噂だぜ?
勝てるワケねぇ」
「諦めは肝心ってゆーだろ?」
「諦められるかぁ!
あいつが転校してくる前まで、俺が首席だったんだぞ!?
てゆーか励ませよ!!!」
「そりゃ、お前…」
美少女を応援したくなるのは
男の性だろ?と笑顔で言う。
何だよ、ソレ。
友人の傷をエグッておいて
薄情な奴らだ。
一方がおどけたように
肩をあげて、
「いくら少しずつ点差が
縮んだとはいえ、
望みはないと思うぞ」
と追い討ちをかけるように
言う。
「くっ、こいつら…」
トドメは何だ?
どんな言葉がかかってこよう
とも俺はもう傷つかないぞ。
いや、これ以上傷ついたら、
叫びながらグランド駆けちゃいそう。
抑えろ、俺。大丈夫。
俺はできる男だ。大丈夫。
さぁ!かかってこ…
"い"を心の中で呟こうとした直前、
登校したてで、教室に入ってこようする
俺が負けた相手と目が合った。
今回の首席、リン。
こんな時に…、
と顔を引き攣らせると、
今回の首席は不適に
―――勝ち誇ったように笑って見せる。
グハッ!ト、トドメだ…!
トドメを刺された……。
この世の終わりのように
膝と手をつき、負けた悔しさにうちひしがれる。
そんなことをしている内に
HRのチャイムが鳴り、
生徒の間でも「筋肉バカ」「脳まで筋肉」と称される
体育教師兼担任が教室に入ってくる。
席に着こうと
立ち上がろうとするが、
「おう!"元"首席!
この調子じゃ万年二位だな!」
グランドじゃなくて
学校中を走ってやった。
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