＃１５



空間に穴のあいたような黒い塊……

その中から、気色悪く伸びる触手のような黒い闇……


「リン！いくよ！」

「うん！援護は任せて！」


ネルが一瞬、リンの方をみて二コリと笑った


「はぁぁぁ！！」


ネルが黒い塊に向かって走り出す

その後ろでリンがたくさんのクナイを黒い塊めがけて投げる


ネルの顔の横をひゅんと飛んでいくクナイ

そのクナイを全て、黒い触手がはじく


「かかった！」


リンがにやりと笑う


黒い塊は触手を、クナイをはじくためにつかったので、本体がガラ空きになっていた


「もらったぁぁ！！」


ネルが【音無】を突きたてようと思いっきり突撃する


ドスッ！！


鈍い音を立てて、突き刺さる………………【黒い刃】


「かはっ……！」


ネルの腹に、黒い塊本体から新たに伸びた黒い触手が刺さっていた


「ネルっ！！」


リンの大きな瞳は、目の前の事実をしっかりとうつしている

ネルの刀……【音無】は塊の手前で止まっていて、とどいていない


「くっ……ぐっ……かはっ……」


ネルの口から大量の出血……


「ネル！ネル！」


リンはどうしたらいいのかわからず、その場でネルの名前を呼び続ける


「リンっ！……なにやってるの！！あたしごと、こいつをやって！」


ネルが大声で叫ぶ


「無理……無理！そんなの無理だよ！」


リンは一歩、また一歩と後ろに後ずさりする


そうしている間に、黒い塊はクナイをはじいた残りの触手でネルの体をくし刺しにする


「あぁぁぁあぁぁぁ！！！」


ネルの悲鳴だけが、辺りに響き渡る


「…………な……なにしているの……はやく……はやくやりなさい！リン！！」


ネルは歯を食いしばって……絞り出すようにリンを呼ぶ


「やだ……無理……私には……」


リンは震えが止まらない



黒い塊が【音無】をひろう


「な、なにするの…………やめて！！」


リンがそう叫ぶけど、それでとまるはずもなく


「―――――」




ネルの首から散る赤いもの……



そして、ぐったりとして……動かなくなったネル



「やあああぁぁぁああああ！！！」













黒い塊は、触手ごとネルを取り込み……消えた……


リンはその場に小さくなって、震えていた


そして、塊がいたそこにはネルの刀……【音無】だけが残っていた……


















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リンは過去を話終わるとミクの隣にやってきた


「私は……守れなかった……大事な仲間を、親友を……私が勝手に飛び出したばっかりに……」


両手を強く握ったリンは、肩を震わせる


「そんな！リンさんのせいじゃありません！」


ミクがそういっても、リンは自分を責めることをやめなかった


「そして……今日、私は……その親友を手にかけた……必死で……私は……私は」


握った手に落ちる雫……

ミクは何もいわずにリンを優しく包み込む


リンの背中をぽんぽんと叩くと、リンはミクの腕の中で大声をあげて泣いた