「それでね・・・またメリーさんから電話が掛かってきて、そしてメリーさんは言うの・・・『こんばんわ、私メリー。今ね、貴方の後ろにいーるーのー・・・』って」
「ぎゃあああああああああ!!!!!」
外では、ここではかなり珍しい量の雪が降っている。
そんな中、アタシらは真冬の怪談大会をやってるんだけど・・・。
「ちょ、Lilyさん驚きすぎだって!!」
「ゆかりん!Lily姐さんになんということを!!」
・・・今のゆかりちゃん、かなり怖かった・・・。
いや、はい。アタシ、皆に意外って言われるんだけど・・・小さい頃からビビリで。
19にもなってこんなんじゃ恥ずかしいな・・・。
「Lilyさん・・・大丈夫?」
「いろはちゃん・・・ちょっとココア取ってきてくれる?」
こういうときは暖かいココアを飲むと落ち着くと、幼馴染のルカが言ってた。
「いろはさん!わたくしにも!」
「ちょっといあばっかりずるいわよ!先輩、私も下さい!!」
「・・・君たちは僕に何本腕があると思ってるんだい?まあ僕も飲みたいから同時に作ってくるよ」
「「ありがとうございます!!」」
・・・しかし、いろはちゃんもイケメンだね。
アタシでも惚れそうだよ・・・あっ、アタシはリンちゃん一筋だから安心して!リンちゃん!
「だだいま・・・」
ココアを飲んでリラックスしていたら、テンション低めの声が聞こえてきた。
すぅか・・・にしても今日は遅かったな。もう5時を回ってる。
その理由がこの後に聞こえてきた愛らしい声で判明した。
「ただいm「お帰リンちゃん!!!!!」
リンちゃんぎゅーやっぱ可愛いねあっちょっと冷えてるね雪遊びでもしてきたのかなそんなリンちゃんが可愛いよ!!!!!!!
「あららー、リンちゃんは好かれてますねえw」
「ちょ、Lilyさん離れて・・・」
「嫌だ離さぬ!!!」
周りにいる全員の目線が痛いけどそんなことは気にしないよ!!
「只今帰りましたわ」
「お帰りるか様!!」
「お帰りなさいませるか姉様!」
お、るかが帰ってきたみたい・・・そのでっかいビニール袋は何!?
しかもビニール袋を持ってさえ気品を損なわないるか、あんた何者!?
「頼まれた板チョコ10枚、買ってきましたわ・・・。あとトッピング用にいろいろ」
「ありがと!やっぱ持つべきはお金持ちだね!」
キャスティングの理由がかなり酷い!!
「それで・・・すぅさん、何を作るんですの?」
「あ、それ僕も気になる」
・・・いろはちゃんて、そういえばお菓子作るのうまいよね。
なんか意外だなあ。
「えっとね・・・あっ、ブラウニーだよ!!」
「いやお前一瞬忘れてたやろ!」
「ナイスツッコミリリさん!!ま、でももうすぐ夜ご飯時だし先にご飯食べちゃおっか」
ツッコミを褒められても・・・。
とりあえず今日の当番は、ってアタシじゃん!!・・・チャーハンでいっか。
「そういえば男どもは?」
チョコレートを分担して湯煎していたときに、ゆかりちゃんがそう質問してきた。
そういえばあの3人、今日になってから見ないな・・・。男は嫌いだから気にしてなかったけど。
「ん?ああ、武者修行だよ。バレンタインだし、立派な男になってこーい!って追い出した」
「さらっとスゴイこと言ったね今」
すぅの物言いに、リンちゃんがコメントを返した。
「あら?それならここにいてはいけない方がもう1人いらっしゃるのでは?」
いあがニコニコとしながら流し目でいろはちゃんを見ていた。まるで彼女は武者修行側だと言わんばかりに。
「そっかー、いろはたんは貰う側だもんねー」
「僕は女だよ!!」
まあ女の子で本命チョコを貰う子はそういないもんね、いろはちゃん僕ッ子だし、武者修行に行っても納得がいくかも。
そんなこんなでわいわいしながら、チョコ作りを終えたのは10時過ぎだった。
「じゃあ明日は休日だけど、誰かウチを6時に起こしてね・・・」
「いいですけど・・・もうそろそろご自身で起きる努力をしてくださいよ」
「ありがとるか様。じゃあおやすみねー」
お風呂に入り、早々にすぅは寝室へ行ってしまった。
これで14歳トリオとグミちゃんは寝て、今起きてるのはアタシとるかといあとゆかりん。
って言ってもるかは眠そうだけど・・・。
「そういえば、るか姉様とLily姐さんはあのお2人にチョコ渡すんですの?」
「「!!」」
ちょ、いあ!直球というかなんというかデリカシー考えて!
というかいきなりでビックリしたよ!!
「ここは本命がいる同士、渡しちゃいましょうよ、ね?」
ゆかりちゃんも笑顔で圧力を掛けてくる。
「わたくしは・・・まあしょうがないですし、1つもないのも可哀想ですからあげますわ一応」
「るかも素直になったじゃん」
「うるさいですわよ。ということで、しっかりLilyも渡してくださいまし」
う、そう来たか。
・・・でも仕方ないし、日頃の感謝も込めて余った失敗作ぐらいはあげよっと。
「では、良い夢を」
「おやすみですわー!」
あの従姉妹ペアも自室へ戻ったので、アタシも携帯を持って戻ろうと準備をしていたら、
「Lilyさん・・・今貴方の後ろにいーるーのー」
「ひゃあああ!?や、やめてよゆかりちゃん!!」
心臓に悪いどっきりを仕掛けられた。
「ちょっとした出来心。じゃあおやすみー♪」
そのままゆかりちゃんは戻っていってしまった。
今日は寝るの怖いな・・・電気つけたままでいいか。
布団に入ってもやはり昼の怪談話が頭から離れず、ずっと天井を見ていた。
こんな子供っぽい私じゃだめだめ、大人にならないと・・・と思っていたら「ブー、ブー」と携帯のバイブがなった。
表示は非通知。こんな時間に誰かが間違い電話をしたのだろうか・・・。
とにかく、一応出てみることにした。
「も、もしもし」
『もしもしLilyさん?今貴方の家の近くにい』
やばい、
やばいやばい!!!
とっさのことで切っちゃったけどこれ・・・「メリーさんの電話」・・・。
怖いよ、怖いよ怖いよ怖い!!
嫌だよう・・・命狙われたくない・・・。
でも電話に出続けないと、確か・・・。
こればっかりはどうしようもないから、出続けなきゃ。
『もしもし?今貴方の家の目の前にいるの』
『もしもし?今家の階段を登っているの』
『もしもし?今貴方の部屋の前にいるの』
どんどん近くなるメリーさんの足音。
それと比例してアタシの心臓はうるさくなって、冷や汗も出てくる。
次来たら・・・殺される・・・。
頬に落ちた雫をなめる。しょっぱい。
この味覚が、私の最期の味覚になるのかな・・・。
ぎいっ。
戸の開く音がした。
布団に潜ってるからどんな容姿なのかは全く視えない。見たくもない。
とにかく怖い。怖くて怖くて怖くて。
最後に一度だけで良かったから「ルカ」や「がくぽ」に会いたかったなあ・・・。
『もしもし・・・今貴女の後ろに・・・』
・・・どうしてかな。
ここでアイツの声が聞こえるなんて。
「ねえ・・・?怖いよ、殺されたくないよ、ねえ・・・」
「・・・大丈夫です、『私』はここにいますから、殺されたりしませんよ」
布団越しでも分かる。
この声は・・・キヨテルの声だ・・・。
布団から顔だけを出し、声が聞こえた方向を見ると、そこにいたのはキヨテルで。
いつもは憎いと思ってるんだけど、今日のキヨテルは何故か見てて安心してきて。
「怖がったよぉ・・・」
そのまま、情けなく泣き崩れてしまった。
背中をさすってくれたキヨテルの手に、黒い塊が見えた気がした。
「眠れそうですか?もう丑三つ時も近いですよ?」
「!・・・今日は無理・・・かも」
怖さから開放された安心で泣いた後も、丑三つ時、というワードを聞いて少しビックリしてしまった。
というか、狙っててその発言してるかのようだ。
「・・・じゃあ、今日は私がここにいますから。大丈夫です、手出しはしません」
「ありがと、キヨテル・・・じゃあおやすみ」
「おやすみなさい」
キヨテルはベッドの脇にある椅子に座り、アタシを見守るような目つきをした。
アタシはその目の温もりに安心して、そのまま眠りについた。
今日のここの男性陣は、この家を出ているということをすっかり忘れて・・・。
朝起きると、そこにキヨテルはいなかった。
でもそこには確かに温かみがあって、しっかりいたということを実感させるようだった。
「おはよー・・・」
「リリさん、今日は寝坊したね・・・何かあった?」
「う、うんちょっとね・・・」
すぅには、多分言わない方が良いだろう。
ビビリだなんて、言われるに違いないし。あといろいろとからかわれるとうざいし。
「あ、皆にはもう言ったんだけど、男性陣は昼頃に帰ってくるから、チョコはそ・の・あ・と・ね☆」
・・・ん?
「昼頃に帰ってくるって・・・もう帰ってきてるんじゃなかったの?」
「え?何でさ?」
「だって、アタシ今日夜遅くに寝たんだけど、寝るときキヨテルが横に・・・」
後、泣いたときに背中をさすってくれたし。
「・・・まだ、帰ってきてないよ?なに言ってるのリリさん」
え?
じゃあなんでキヨテルはあの時・・・。
アタシは、その日怖くてキヨテルと話が出来ませんでした。
涙の味のちょこれいと【すぅ家キヨリリ】
友チョコいっぱいもらいましたよ!すぅです。
しかもホワイトバレンタインですよ!雪!ゆきいいいいい!!!!
これ書きはじめたときはまだ前日だったのでまさかホントに雪が降るとは思ってなくてビックリデスw
あ、ちなみに14日~15日にかけての話ねこれ、うん。
あとメリーさんね、あの方ならやりかねないなと。うん。
どうしても苛めたくなっちゃうんだよねリリさん可愛いもん。
ゆかりさんは怖がらせる天才だと思う。
あとグミリン、あいつらは雪遊びをしているロリショタを拝むために出てきたわけであって、遊んでなんかいません。
ではでは。
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