ルル視点
居ない…居ない。いないいないイナイ居ない。
何処にも見当たらない。
いつも其処にあった存在がない。
ララを守らないと。
ララを救わないと。
じゃないと、僕は、何の為に存在してるんだ。
ただ、今、僕はあいつらが憎たらしいだけなんだ。
僕はどうなってもいい。ララが助けられればいいんだ。
だって…僕は、僕の存在は…。
キリア視点
「いないっ!いないっ!誰だああああああああああっ!誰がっ!ララを!ララを何処にやったあああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!」
悪UTAUの部隊を倒した後、その叫びだけがあたし達の耳に残った。
ここまで叫んだ声は聞いたことなかったけど、これはルル君の声だって、あたしにだってわかった。
「ルル君、どうし…きゃっ!」
あたしはルル君を心配してルル君に近づこうとした時、ルル君が突然あたしの方に突撃してきた。
「ちょっと!どうしたの!?あたしだよ!キリアだよ!ルル君、こんな事してないで早くララちゃんを…」
そして、ルル君は躊躇わずにあたしの機体を固定して、ランチャーを構える。
「ルル君!やめてっ!」
あたしの機体は完全にルル君の機体の射程内に入っている。このままだと、このままじゃ…。
あたしは、怖くなって目を閉じた。
「大丈夫ですか!」
「助けに来たよ!」
「大丈夫?キリアちゃん」
あたしが目を開けてコックピッロのカメラに視線をやると、レインさんの機体とマキ君、リオ君の機体が其処にいた。
そう、三人が助けに来てくれたみたいだった。
「全く…ボク達もまんまとやられちゃったよ…」
「俺の方は、もう機体はボロッボロで動かなくなっちまってな。俺はしばらく戦えないみたいだ」
ミユウちゃんとボイス君はエンジェルボイスターに回収されたみたいで、通信でそう言った。
「でも、ルル君、一体どうしちゃったんだろう」
あたしは用心しながらルル君を見る。
「ララが居ない。何処にも居ない。どこにも。どこにも!!!」
ルル君は再び動いて、次はレインさんを狙おうとする。でも
「レイン様!」
リオ君が間一髪の所でルル君を銃でひるませる。
「ルル君!なら、あたしがルル君の目を覚まさせる!出てきて!あたしの召喚獣!ケルベロスとブラックナイト!」
あたしはコックピットのボードを叩いて叫んだ。
そして、転移ゲートが開いてケロベロスとブラックナイトが出てくる。
「うわあ、凄いわねぇ」
「あ、あんなのボクも聞いてないんだけど…」
ミユウちゃんとレインさんは私のこれをみてとても驚いてるようだった。
「どう?実衣さんに頼んで極秘に作ってもらってたの。こうでもしないと面白くないし!でも、ルル君に使うとは、あたしは予想できなかったけどね。じゃあ、勇者キリアいっきまーす!」
あたしは自慢げに言って、ルル君に突撃した。
「ルル君、そういえば、あたしが無理矢理誘ってやらしたシュミレーター。あれ、とっても強かったよね~」
「うっ…ぐああっ!」
「あたしさ、あれで負けて少しいじけてやけになってまた負けて。でも、これは実戦なんだ、あたしは、負けるわけにはいかないよ。ララちゃんだって、こんなの望んでないだろうし。あ、でも、ルル君には勝ちたくないから…」
あたしは、一瞬だけ動きを止めて。ルル君の機体をつかんだ。
「だからさ、"おあいこ"であたしは終わろうと思う」
「まさか…キリアちゃん」
レインさんはあたしを心配するように言った。
「大丈夫。ルル君もあたしもボーカロイドだから、これくらい耐えれると思うし。それに、一度こうでもしないと、ルル君目を覚まさないと思うんだ。ほら、操られてたテトさん達も一発殴んないと目を覚まさなかったでしょ?操られてないとはいえ、これも同じ気がするんだ」
あたしは言い訳するようにして、レインさんに言った。
「そして、あたしは勇者にもなりたいし、魔道師にもなりたいし、剣士にもなりたいし、色々なジョブをやってみたいんだよね~。あ、死亡フラグたててないよね?あたし。ま、いっか。ぎりぎり防御壁はルル君とあたしの間に貼れるし。でもな~ちょっとベッドに寝たきりにはなりたくないな~」
「キリアさん…」
マキ君は寂しげに呟いた。
「あ~もう!辛気臭いのなんてあたしに似合わないっ!じゃあボカ~ンといって生還してくる!あたしとルル君が放浪してたら拾ってね~っ!じゃ、いってきますっ!あ、魔界にいってこよっかな」
あたしはやけになってそう言って、ルル君ごとあたしの機体をケロベロスとブラックナイトを使って遠くに飛ばした。
「ララちゃんの身に何が起こったか知らないけど、あんなに暴走するのは、やめてよね」
あたしはボーレイシェンのコックピットを使って、ケロベロスとブラックナイトにあたしとルル君を攻撃させた。
ルピア視点
「…兄貴も姉貴も勝手にどっか行って、そして次女だと言うのに王位を受け継ぐ事になったユアの苛立ち、不安、そんな気持ちを知ってるのか?」
あたしはミアに問いかけた。
「…それは、知りませんよ。エンジェ人の血を継いでるとはいえ、そんな人の心を読む力などありません」
「だろうな。あたしみたいな状態じゃなかったら、誰も相手の気持ちなんて知らない。でも、考える事、予想はできるだろ?」
「…考えれば、お姉様もお兄様も私達のもとを去らなかったと、ルピアお姉様は思うのですか?私は思いません」
「…12歳にしては、お前、大人すぎるな」
「ルリカお姉様も、私くらいの時にはボーカロイド隊の総隊長をしていました」
「そんなの、あたしには関係ないがな」
「そんな、なんで!」
「…あたしは、ユアではあるが、ルリカではないからな」
そう言って、あたしは寝た。
全部を忘れたかった。
「…ユアさんっ!大変です!キリアちゃんが、ルル君を助ける為に!」
実衣があたしの部屋に大急ぎで入ってきた。
ああ、もういいよ。あたしには関係ない。
「すみません、今お姉様は体調が悪いようで…。何があったんですか」
ミアは、実衣につれられてどこかに行ったみたいだ。
もう、あたしは、こんな風には生まれたくなかった。
普通の人間に、生まれたかった。
続く
歌姫戦士ボカロボット第30話
ちょtttttttttttっと待ったあああああああああっ!
キリアちゃんがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!
っていう30話でした…。ちなみに借りた亜種さんから死者は出ないので安心してください。"借りた亜種さん"からは出ないです(ココ重要)。
次回予告
レイン「キリアちゃん、無事かしら?ああいう風に言っていたから、大丈夫とは思うのだけれど。でも、まだ問題は残っているわ。消えたミクちゃん。そして失踪したクオ君とリンちゃん。なんだか関係性がありそうね。そして…このとき、キョウちゃん達は…次回「失踪、消失、迷子」こういう時こそ、明るくなくちゃいけないのよね」
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