そのメールを受け取った時、真っ先に後悔が襲って来た。それから怒りと恐怖が刻まれる様に吹き出した。
「どうして緋織を1人にしたんだ!」
「止めろ侑俐!」
「だけど…!」
ほんの少しの間に緋織は医務室から忽然と消えた。祭だったせいか緋織を見た人間は居ても何処に居るのかがまるで掴めなかった。緋織が居なくなったと聞いて全員が真っ青になっていた。桜華に至っては怯えて泣き続けている。
「携帯も鍵も置きっ放しだ…履歴も消されてるし…クソッ…!」
あまりの悔しさに壁を殴り付けた時だった。けたたましい非常ベルの音が鳴り響いた。
「わっ?!何?!」
「非常ベル…?」
『旧校舎にて火災発生、旧校舎にて火災発生、校内の生徒、教員、その他一般の方々は直ちに旧校舎から避難して下さい。繰り返します、旧校舎にて…』
「旧校舎って危ないから入れない筈じゃ…。」
「うん…立ち入り禁止だよ。」
「嘘でしょ?まさか…だって今火災発生って!」
「でも…もし中に居たら…。」
「や…いや…!ひお…ひおが…!やだぁ…!やだ…!」
背筋を冷たい物が走った。言うより早く真壁は弾かれる様に医務室を飛び出して行ってしまった。
「おい真壁?!侑俐も待…!」
振り切る様に走る真壁の腕を捕まえると弾みで膝から崩れ落ちた。
「落ち着け!まだ其処に居ると決まった訳じゃ無いだろ?!」
「アンタは平気なのか?!居たらどうするんだよ?!」
「平気じゃない!けど闇雲に火の中に入ればお前だって無事じゃ済まない事位解るだろ?!」
「じゃあどうしろって言うんだよ?!」
胸倉を掴み上げられて言葉を詰まらせた。必死に考えても何も浮かばない、もし本当に旧校舎に緋織が居ればひとたまりも無いだけどこのまま飛び込む訳にも…!
「…つくづく病み上がりに優しくないゲームだね。」
「――っ?!お前…日高?!」
「日高…って誰?ほら、真壁君も泣いてないでしっかりして、お姫ちゃん助けるんでしょ?」
この顔…この声…それにこの口調…。
「雉鳴弭…?!」
「はい、雉鳴です。」
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