「君は僕の手をとった」そんな歌を聞いて
僕は小さく「いいな」って呟いた

歌や漫画や小説の逃避行にはだいたい「君」ってもんが付きもんらしい
「僕」がいたら 「君」がいて ぴったり二人分
それなのに 僕ときたらさ

「君」なんていない どこにもいない
僕を「特別」にしてくれる人なんていない
鏡の中から胡乱気な目がただ見つめ返している
わかってたよ わかってるよ もうわかってるよ
でも「君」が欲しかったんだ
特別な誰かになりたかった

僕の手をとってくれる そんな人はいなくて
僕の手は今日も冷たいまんま

歌や漫画や小説の中の話ではだいたい「君」ってものがいるはずなのにさ
僕にはなくて「君」のかわり 仕方なく鏡
触れた手の 冷たさときたらさ

「君」なんていない どこにもいない
僕を「一番」にしてくれる人なんていない
鏡の中では恨めしそうな僕がまだ見つめ返している
わかってたよ わかってるよ もうわかってるよ
でも「君」が欲しかったんだ
誰かの一番になりたかった

「君はそうだ いつもそうだ いつでもそうだ
そうやってまた逃げ出している」
鏡の中から責め立てる視線がまた僕に突き刺さる
わかってんだ わかってんだよ もう知ってたんだよ
でも「君」が欲しかったんだ
僕にも「君」と呼べる人がほしかった


そして僕は窓を開けた 青い空が近づいている。
僕を引き止めてくれるはずの「君」なんていないや
窓ガラスにうつった僕の目は腫れぼったくて
潤んで、 ゆがんで、 何かを訴えたがっているけど
僕にはなんにも聞こえない 僕は君と話せない
理解なんかできない 支えてあげられない でも嫌ってるんだろわかるよ
殺したいほど憎いんだよな そんな目をしてる
僕はそれでも「君」が欲しかった
ただ手を取り合える人が欲しかった
僕をわかるはずの僕が欲しかった
でもやっぱり君は僕が嫌いだ

わかってたよ わかってるよ だからもういいよ
「君」なんかどこにもいなくって
笑っちゃえるほど ひとりぼっちで
止めてくれる人のいない自殺未遂をただ繰り返している
こんな僕でごめんね 大人になれなくてごめんね
引き止めてくれる手も 許してくれる目も
ここにはない どこにもない どこにも僕の席はない

わかってたよ わかってるよ もうわかっちゃったよ
だから僕はもういくよ
「君」なんてどこにもいないや

逆さまのまま手を伸ばす 窓硝子の僕が手を伸ばす
もう帰れない 君の顔は引きつっていた
触れ合った指は 擦り切れて 熱くって ちょっと涙が出ちゃった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい
  • オリジナルライセンス

君なんていない

「君」が欲しかった人の歌です。

ふたつ目。
曲や動画をつけてくれる方を募集しています。(VOC@LOID、人間どちらでも)(静止画、文字のみ動画歓迎)
曲をつけるにあたり歌詞、タイトルを変えたい、変えて欲しいという方一声おかけください。
よろしくお願い致します。
Twitter( @miyori_gray )

閲覧数:130

投稿日:2018/10/28 22:20:35

文字数:1,070文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました