第九章
『心配』
「マスター、少し休まれてはどうですか?」
お部屋に帰ってきたマスターを私は笑顔で出迎えたがマスターの顔は真っ青だった。
これが私やお兄ちゃんならともかく(機械だから)マスターは人間だ。
しかも特別な人間、生まれてこのかた一度もこの病院の外に出たことが無いと言っていた。
「大丈夫よミク・・・・・・・・・・。
ちょっと疲れているだけだから」
そう言ってマスターはPCに向かう。
何をしているのか後ろから見えないため私は覗こうとする。
しかしマスターは直ぐに手で隠すかファイルを閉じてしまう。
「マスター、何を書いているんですか?」
「秘密、ちょっと待っててね」
考えてはキーボードの上を滑る細長い指。
少し息遣いが荒くなっていたのでカーディガンをかけてやる。
「有り難うミク」
マスターは何時も通り笑ってくれたが私は心配でなかった。
「マスター・・・・・・・・・・・」
「あ、そう言えば白石先生のところにメイコさんっていうVOCALOIDがいたよ。
もしかしたらミクの先輩かもね」
「メイコお姉ちゃん?」
「ん、知ってた?」
「はい。この前中庭で一緒に歌いました」
「何歌ったの?」
「酒飲みの歌」
ひたすら酒を褒め称える曲と説明するとマスターは笑った。
「あの人、どれだけお酒が好きなんだろう」
アハハハと笑うと少しだけ頬がピンクに染まった。
「・・・・・・・・・マスター、もっと笑ってください」
「ミク・・・・・・・・・・・?」
私が辛い時は、マスターは笑ってくれた。
その時私は幸せな気持ちになった。
それと同じ事をしてあげたい。
「マスター、笑ってっ。
ほら、ニコッて」
私が自分の頬をグニュッと摘んで変な顔をするとマスターは吹きだした。
「ミク変な顔」
口元に手を当てて笑うマスターを見て、私はようやくホッとした。
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「死にたいなんて言うなよ。
諦めないで生きろよ。」
そんな歌が正しいなんて馬鹿げてるよな。
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「それが嫌だから」っていうエゴなんです。
他人が生きてもどうでもよくて
誰かを嫌うこともファッションで
それでも「平和に生きよう」
なんて素敵...命に嫌われている。
kurogaki
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