「熱いな…」
なんだかレンがぐったりしていた。
大好物のバナナを見ても気がのらない。
これはおかしい、
そう踏んだ俺はレンの額に手を当ててみた。
案の定、熱かった。
「今どんな感じだ?」
レンをソファに腰掛けさせながら症状を尋ねる。
「身体…っ熱くて、頭痛い……」
「他は?」
「だるい…かな」
火照りに頭痛にだるさ
こりゃ間違いなく
「オーバーヒートだなぁ」
「オーバー…ヒー、ト?」
レンがきょとんとして習うように言う。
俺はそう、と頷いた。
「モーターが回りすぎて熱くなり熱が出る…すなわち人間で言えば風邪だな」
今日はゆっくり休めよ
レンをひょいと持ち上げて階段を上がる。
もちろん自室に連れて行くためだ。
「まっ…マスター!僕大丈夫ですっ」
担がれる形のレンはバタバタと暴れる。
しかし小さな、しかも熱を持っているレンは、俺にとっては小さなかすり程度にしかない。
「馬鹿っ!そんなことしたら熱上がるぞ」
この一言でピタッと動きが止まった。
流石にそれは恐れているようだった。
「はい、お休み」
レンを強制的に布団へと降ろす。
熱い身体を一撫でしてやると、立ち上がる。
「ま…すたぁ、どこ行くの?」
レンが掠れた、弱々しい声で聞いてきた。
「まだ仕事残っててな。あ、ちゃんと冷えピタとか持ってくる為でもあるし。」
そう言い残し部屋を出て行く。
お昼時になったらお粥でも作ろうか。とりあえずリビングへと向かう。
「レン、入るぞ」
ノックをした同時にバッと音がしたが、あまり気に止めなかった。
ガチャ、とドアを開けると布団に
うずくまるレンの姿があった。
「どうした、苦しいか?」
「ぅ゛…、ぁ//」
苦しそうな声はするものの、一向に
布団から顔を離す気配はない。
無理矢理剥がして、冷えピタを貼りたいのだが、自分でやると断られてしまった。
「そ、そうか。ごめんなレン」
「…っ」
なんか怒ってる!?
熱があるからおかしいのか…?
何はともあれ退室したほうが良さそうだ。
「また後で来るな?」
そう言い残し部屋を後にした。
(疲れたー)
パソコン作業が一段落し、背伸びをする。
そういやレン大丈夫かな。
ふと思い、様子を看に行くことにした。
部屋の前に立つと、うなり声が聞こえた。悪化したのだろうか、すぐさま駆け込む。
「レンどうした!!?」
バン、と勢い良く開かれた扉に小さな肩はビクリと震わせた。
ずかずか歩き、その肩を掴む。
「ひゃっ」と声をあげた、赤い顔の熱に浮かされた蒼い瞳には涙が溜まっていた。
「泣くほど苦しいのか!?待ってろ、今…」
「ちがっ…」
ブンブンと頭を横に振るレン。思いっきり振ったから、少しクラクラしてしまったようでぽすっと俺の胸元に顔を、身体を埋める。
ひんひん泣く腕の中の小さな身体は熱い。とりあえず落ち着かせようと、少し汗ばんだ背中をよしよしとさする。
「し……かった…」
「ん?」
「寂しかっ…たぁ」
ぎゅっと抱きついてきたレンに心を打たれた。
先程より掠れている声に孤独さを感じた
あぁ、そうかこの子は―…
「…ごめんな、レン」
病気になると人肌が恋しくなると聞いたことがある。
なのに1人させてしまって…
俺はキューッと胸の奥が締め付けられた。
申し訳ない気持ちでいっぱいになった頭は、レンのことしか考えられない。
「今日はずっと一緒にいてやるよ」
優しく撫でてみせるとパッと顔が上がり、「本当っ!?」と明るい声をあげた。
「本当だよ」
まだ熱いレンの額、髪、頭、背中、肩。
繊細な物を扱うようにふわりと撫でた。
「ますたぁ…だい、すきぃ……」
そう言った途端、少しだけ重さを感じ、さらに体温が上昇した事が感じられた。
視線を落とすとスヤスヤ眠っているレン。
こりゃ俺が居なかったとき寝れてなかったな。
そんな事を思いながらも頬に伝わる雫を、人差し指で拭う。
温かい涙は、レンの愛おしさを関連させた。
end
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