「お久しぶりですね」


ドアから入ってきたのは、全く見覚えのない女性だった。


「久しぶり?そうね、確かに久しぶり……かなり時が経った程度には、ね」


初音がよくわからないことを言った。


「あなたは相変わらずですね。使命を終えるまで、ずっとこの世界にいるつもりですか」
「そうね。はじまりの神として、終焉を見るまでは居座るつもりよ。このツマラナイ世界に」
「そうですか。大変ですね、カミサマというのも」
「あんたが言えたことじゃないでしょ?神じゃなくても、あんたは影に近い存在なんだから」


この二人の会話がよくわからない。
どうやら初音は女性と知り合いのようだ。


「っていうか、君は誰なんだ?」
「おや、あのときの影神もいるのですね。まぁ、今は少し違うみたいですけど」
「影神って何なんだ?僕は神威だ」


さっきの初音も、影神がなんとかと言っていた。
グミはわかるのかな?


「この手紙、っていうか暗号を送ってきたのはあんたね?VY1」
「そうです」
「何?あんたが来たってことは、神とか箱庭のシステムとかが関係してるわけ?」
「うーん…まぁ、そんな感じですかね」


おい、いいのか。
なんかVY1って人、弁当食べ始めたぞ。
しかもそこのコンビニの弁当だよ。いいのかよ。
ちなみにそこのコンビニは、大変おいしい唐揚げがあるコンビニだったと思う。


「まぁなんとなくわかるんだけどね。箱庭も実験も、ただの箱の塊でしょ?」
「そうですね。実は、少々困ったことになりましてね」
「へぇ。何?」
「その空っぽの箱庭と実験は、何者かが造ったフェイクだったんですよ」
「知ってるわよ。姉さんが言ってたもの」
「あぁ、彼女が…それで、よくない噂を聞きましてね。協力していただきたいんです」


なんかグミがスマホいじりはじめた。
何やってんだよさっきから。


「で、具体的には何をすればいいの?」
「えぇ、それは後でお話します……どうも、本物の箱庭が『隠された』ようで」
「隠された?」
「えぇ。今、何かのエラーでシステムにアクセスできないので、箱庭の本体を見つけれないんですよ」
「……ミク姉さん」


ふいに、グミが発言。


「調べてみましたが、エラーは意図的に起こされたようです」
「マジで?」
「エラーを解除して本体のゲートさえ開けば、システムにアクセスできるでしょう。しかし…」
「しかし?」
「エラー解除コードもゲート解除コードも、それぞれパスワードを入力しないといけないみたいで」
「調べれないの?」
「それが、複雑に暗号化されているようでして。これを解くヒントがあればいいのですが」


グミが机の上にスマホを置き、僕らは画面を覗き込んだ。

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【リレー】僕と彼女の不思議な夏休み 6

夏期講習はどこにいったのでしょう。

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投稿日:2013/01/09 00:31:24

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カテゴリ:小説

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