「ねえ、歌おう?」
   


「『ヒト』って、ふと旅に出たくなるように眠る場所を求める、そういうものだと私は思うの」
 そう君が話したのは、確か流星群の夜だったかな?
 僕は、君と一緒に丘に座っている。空を見上げながら。
 僕は言う。
「眠る場所、か…」
「そう」
「……でも」
 僕は丘の下に広がる、二、三十の灯りを指さす。すると君は目線を下ろして、僕の指さした方を見る。
「僕らの眠る場所は、もう求めなくても、いつでもそこにあるよね」
「…うん」
 すると、君は微笑む。僕は、その笑顔が好きだ。その笑顔を見たら、僕の心は暖かくなるんだ。


――でも


 僕は、手を下ろしてまた空を見上げる。そこには、めいっぱいの流れ星。
 普通の人には、そう見えるだろうか。でも、違うんだ。僕は知ってる。僕は、知ってしまった。
 あれは、ヒトの『命』。
「………」
 その命が、どんどん消えていく。だから、この空に溢れているのは――


「『死』だ」


「…え?」
 君には、僕の呟きは聞こえなかったらしい。君は不思議そうな、心配するような顔で僕を見るが、僕はそれを無視し、空を見続ける。
 ――僕は、知ってしまったんだ。“終末”を。
 それを知るのが、もう少し早かったらよかったのに。もう少し早かったら、この村だけでも、消えなくて済んだかもしれないけど、もう、遅いんだ。
 ――僕は、知ってしまったんだ。“終末”を。でも、そのときには、此処はもう、
「………」
 君の笑顔を見ても、暖かくも寒くもならない速度で、落ちていたんだ―――
 僕はぎゅっと拳を握る。それは自分の無力への怒り?それとももっと早く“終末”を知る事ができなかった後悔?
 僕は自分の顔が歪みそうになるのを感じた。しかしそれは抑える。
「…ねえ」
 僕は微笑み、君に話しかける。
「もう夜遅いから、今日はここで寝ていこう。今日が、『旅の終わり』だよ」
 君のさっきまでの僕を心配するような表情はすぐに消える。そして君は、
「……うん!」
 『笑顔』で、そう言った。


「………ん」
 僕は、目を覚ました。すると、辺りはもう明るかった。僕は上半身を起こし、目をこする。
「ふあぁ…」
 大きなあくびを一つすると、横に寝ている君の方を見る。
「!」
 すると、君の姿は無かった。僕が何かを考える前に、
「わっ!!」
「ふえ!?」
 いきなり聞こえた声に、僕は間抜けな声を出す。振り向くとそこには、悪戯っぽく笑う君がいた。
「びっくりした?」
 そう聞いてくるので僕は頬を膨らませて、
「した!」
「あはは」
「…もー」
「じゃ、早く着替えて、出発しようよ」
 見ると、彼女はもう着替え終わっていた。どれだけ早く起きていたんだろう?
 ………いや、僕が寝坊しただけか。
 ふうっ、と僕は一つ息をつき、出かける準備を始めた。

「もう終わった?」
「あ、ちょっと待っ…て!」
 そう言って、リュックに最後の荷物を詰め、口を閉める。そして立ちあがってリュックを背負い、
「オッケー。じゃ行こっか」
「うん。行こ………」
 そこで、君の声は止まる。なぜなら、

「きゃあああああああああああああああああああ!!!」

 悲鳴が。
 人の泣き叫ぶ声が、聞こえたから。
「な、何が…」
 君は震える。しかし僕は、無意識に走り出していた。

 声の聞こえた方へ――


 ねえ、“カミサマ”。もしも、“カミサマ”が居たとしても…
 雲一つない青い、大きな空。
 光り輝く溢れるほどの虹。
 そんなもの、いらないから。
「唯一つ、願いをかけるとしたら…?」


 僕は村にたどり着く。そこは――





『地獄』?




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

さア、一緒に歌オウ――

「ワンダーラスト」のイメージ小説?

いいえ、妄想小説です(笑)

ちなみに続きます

ああ何だかここまで妄想できた自分を褒め称えたいw

閲覧数:377

投稿日:2010/02/27 16:59:55

文字数:1,537文字

カテゴリ:小説

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