目の前に見えるのは赤、紅、朱。


自分の手を染める綺麗な赤。


自分の顔を染める綺麗な朱。


自分の体を染める綺麗な紅。




ねえ、みんななんでそんな顔で見るの？




ねえ、みんななんで恐ろしそうに見るの？




私はこんなに楽しいのに。








「あははははっ！」








手に握られたカッターナイフ。




腹から流れる赤。




別になんの不思議もないでしょ？







私が自分のおなかを刺しただけじゃない。



ああ、教室が汚れるのを気にしているの？



週番さんごめんね。



でも、そんなことどうでもいいじゃない。



今私がすごく気になるのはね、みんなの顔。



なんでみんな叫んでるの？



なにかあった？



真っ青だよ？まるで血の気が失せたみたい。



あ、本当に血の気が失せてるのは私か。







あはは、あんたいっつも偉そうな顔してたくせに。

血ぃ見ると倒れそうになるって本当だったんだ。
自分で弱点吐くなんてばかじゃん？ザマアミロ。



あれ？どうしたの、ねこ。

ねこは隣のクラスでしょ？なんでここにいるの？
ああ、休み時間だもんね。来るか。



あれ？どうしたの、組長。

私が死にたがりなの知ってるよね？実行しただけだよ？
そっか、組長いつも自殺しようとするの止めてくれたよね。でもそれも今日からしなくていいんだよ。



あれ？りぃちゃんまで。

そんな驚いた顔しなくてもいいんだよ？
私居なくなるけど何ら変わりないよ。問題ない。



あれ？なっちゃん？

なっちゃんもそんな驚かなくても…。
いや、これが怖いのかな？大丈夫、すぐ慣れるって。














おなかが痛いな。でも、楽しい。すごく楽しい。

さあ、ごらんなさい。これが自分で自分を殺すこと…、俗に言う自殺ってやつだよ。

あ、これが死亡フラグってやつ？死ぬ前に体験できてヨカッタ。

楽しいよ。ほんと、笑っちゃうくらい。でもね、そんな時間も長くは続かなかったよ。










「あはははははははははははっ！あはは、あは、ははははは、ははは…はは……………」