男の子はあたしに笑いかけたの。
「聞かせて?」って。





「...あたしが出かけてる時」「あたしのお家が燃やされたの」「お父様とお母様も一緒に」

「お婆様も狼に噛まれてた」





「あたしはこの街を消すの」





話してて何だか悲しくなったの。
あたしはひとりぼっちって
言われてる気になる。

男の子は静かに聞いてた。





「...ごめんな?」





男の子が言ったことが
理解出来ないの。

「...あなたは悪くないわ?」
「...気付いてなかったから」「...こんな小さな子を」
「助けてやれなかったから」





男の子はあたしを抱きしめたの。
お母様と似てて泣けてくる。





あたしの頬が濡れた。
男の子も泣いてたの。





あたしはこの人を消せない。
消すのはいけないの。





「...さあ切って」

男の子は手を開いた。

「気付かなかった悪い人だから」「...だから切ってください」




あたしは斧を投げ捨てたの。

「...そんなの出来ないわよ」
「...消さないのか?」

男の子は首を傾げた。





「その代わりピアノを弾いて?」
あたしは笑顔で言ったの。





「...何が良い?」

男の子も笑ってたの。





「...こんぺい糖の踊り」

「分かった。」





男の子はピアノに手をかけたの。それから優しくピアノを弾いた。
あたしは目を閉じた。





あたしは歌を歌った。

お母様が作ってくれた曲を。







「...綺麗だったよ」

男の子は手を叩いた。



あたしはこの人なら信じられる。
「あたしのことが怖いかしら?」
「怖いわけないじゃないか」
男の子は笑いながら言った。

「...良かった」

あたしは座り込んだの。





「これからどこで生きてくの?」
男の子は首を傾げたの。

「この奥の森で生きてくわ」

「俺も連れてってくれる?」

「...良いの?」

「ここにはいたくないから」

「あなたが良いならついて来て」





「あたしは凛。」

「俺は蓮。何だか似てるな」

蓮は笑いながら言った。

「通称白ずきんだったけど」
「今は赤ずきんだわ」

あたしは軽く笑ったの。

「凛は白くて綺麗なままだから」
「...蓮」
あたしは蓮に抱きついたの。

「...凛」

「ここなら出ましょ?」
「ここにはいたくないのよ」

「ふたりで逃げよっか」

「早く逃げましょ」



ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

怖い赤ずきんのお話Ⅲ


続きです*°



次で完結する予定です!!

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投稿日:2010/12/12 17:14:25

文字数:1,060文字

カテゴリ:小説

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