レンから殴られた後、俺は暗い廊下を歩いて訓練所へと向かっていた。
その間、女王陛下の泣き顔が浮かんでは消え、浮かんでは消え、ずっと繰り返していた。まさかとは思うが、俺・・・女王陛下に惚れちまったのか?、なんて馬鹿げた事を考えていた。
「団長!」
「おっ、どうした?」
「暗殺部隊リーダーのルカ様がお話があるそうです!」
「分かった。新人どもに訓練さぼんなって言っといてくれ」
「はい!」
無駄に元気な挨拶をする部下に、つい笑いが出る。
笑いながら自分の部屋へと入ると、閉まっていくドアの影から黒いフードで全身を覆うルカがいた。暗殺部隊ってのは、どーしてこんなに怪しい格好してるんだろうな。
「笑っておられるのも今だけですよ、メイト団長」
「よお、久しぶりだな」
「・・・メイト団長、今は仕事中です」
「気にすんなよ。で、話って?」
厳しい表情のルカを気にせず、そのまま自分の仕事机に向かいながら話す。
ルカから返事はない。俺は、ルカのその態度に、報告内容の深刻さに気付き、椅子に座ると同時に舌打ちをし、溜め息を吐く。
「青の国と緑の国、か」
「どちらも大きな国です。協約を結ばれれば、我ら赤の国と黄の国は危ういと思われます。いかがいたしましょう?」
「・・・ルカ、お前さ、聞く相手を間違えてねぇか?」
「・・・どうゆう意味でしょうか・・・」
こいつ、気付いてて気付かないフリかよ。
「普通、そこの依頼内容は大臣に決定権がある。一国の騎士団団長である俺には、その権限はない。大臣の指示に従うまでだ。俺より永く仕えていながら、まさか忘れていたって事はねーだろ」
「・・・あの大臣は・・・信用なりません・・・」
小声で呟いたルカの台詞に、俺は無言で同意する。
しかし黙ったままでは何も始まらない。
「何かあったら、また連絡してくれ」
「・・・はい・・・」
納得していない表情で、ルカは消えた。
仕方ない。あの大臣の許可なしに動けば、あの小さく儚い女王陛下を守る人間がいなくなる。国民の女王陛下に対するイメージは悪くなる一方だ。俺の妹もその1人。何を言っても聞く耳を持たない。むしろケンカになる。だからだろう、暗黙の了解として俺とメイコは女王陛下の話はしない。
だが、誰か1人でもいい。
彼女を理解する人間が、彼女を近くで守らなければ。
そこまで考えてようやく気付く。
俺は、リン女王陛下に好意を抱いている事に、気付いてしまった。
「やれやれ・・・厄介な女王陛下だ」
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