宴は豪華絢爛だった。皆が歌い狂い、遊び倒した。

 五臓六腑まで酒を染み込ませた、といってもおかしくないくらい飲み干したワインのボトルがテーブルに散乱していた。が、誰も片付けることもなく、放置されている。そういう役目のメイドや執事も居ない。いったいどこへ行ってしまったのだろうか?

 宴が終わり、夜が明けた。

 少女人形と少年人形は彼女を起こしに出かけた。主人は新聞を見ていた。

 メイドは時間がかかっているのが気になって、彼女が眠っている部屋へと向かっていった。

 ――時間もそうかからないうちに、メイドの声が聞こえる。

「大変です! あの娘が何処にも……」

「「イナイ! イナイ!」」

 メイドに少し遅れて少女人形と少年人形が続ける。

 メイドたちの証言をまとめるならば――村娘がどこかへ消えてしまったということだった。

 果たして、彼女はどこへ消えてしまったのだろうか?





≪Twilight ∞ nighT【自己解釈】 3≫





 村娘を探すために館にいる人間は一斉にくまなく探し始める。当然だ。村娘が居ないと、『○○』が実現出来ない。

「どうしてきちんと見ていなかった!」

 主人はメイドに向かって激昂する。彼らが考えていることは、どう考えても村娘を組み込まなくては成立しないもの。だから、村娘が居ないと大変だった。

「ああ……もうどうすればいい……。村娘抜きで続けろというのか……!!」

 主人は髪を掻き毟る。明らかに怒りを含めているようだった。

「そういうことじゃないよ。それよりも村娘があの『事実』に気がつけば……」

「それもそうだ」

 流暢な声で少女人形と少年人形は続ける。

 少年人形はあるものを取り出した。

 それは。

「見テヨ」

 まるで演じているかのように、再びぎこちない発音に戻る。

 彼が持っていたのは台本だった。

「台本がどうかした?」

「コレヲ見テ」

 彼はあるページを広げる。本当ならば、これから先のことが書かれているはずなのに。

 ……だが、そこにはページがなかった。破られていたのだ。

 それを見て、一同は驚きを隠せない。

 少年人形も、それを仕舞って笑みを浮かべる。本当ならばほかの人間と同様に驚きたいところなのだろうが、それも無理なのだろう。出来る限り平静を保っている、といってもいい。

「ページが無い……。それも、未来のページ……」

 未来のページというだけならば構わない。

 もっと言うならば。

 そのページは……『Ending』。それが無ければ『これ』は永遠に終わることはない。

「ネェ……何カ聞コエナイ?」

 少女人形の声を聞いて一同は耳を澄ませるが、しかし何も聞こえない。

「……何も聞こえないわよ?」

 奥方が訊ねる。

「イヤ……、聞コエル。コレハ……時計ノ音」

「時計!?」

 それを聞いて一番驚いたような表情を見せたのは主人だった。

 主人は一同に指示する。

「村娘は地下だ! 地下室に行ったに違いない!! 急いで、捕まえるんだ!!」


 ◇◇◇


 村娘は柩のある部屋へとやってきていた。

「これは……どういうこと?」

 初めてやってきたはずなのに、村娘はこの場所を見たことがあった。

「ここはいったい……何処?」

 村娘は訊ねる。しかし、その相手は何処にも居ない。居るはずが無いのだ。



つづく。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Twilight ∞ nighT【自己解釈】 3

本家:http://www.nicovideo.jp/watch/sm20081073

お久しぶりです。まさか1年半ぶりとは……。
最後まで突っ走ります。もちろん、最終幕まで。

閲覧数:176

投稿日:2014/09/12 22:54:45

文字数:1,436文字

カテゴリ:小説

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