――――またこの季節がやってきた。

 冬なんて嫌いだ。あの辛い過去を思い出させる。
 君は僕のことなんて忘れているだろう。もう6年もたった。
 君がいない世界なんて、つまらない。意味がない。
 雪が降ると、君がみえてくる。そんなのありえないのはわかっている。
 ただ、.....ただ......もしかしたら戻ってくるんじゃないかって。
 そんな思いがよみがえってしまうんだ。

 雪は、僕を弱くさせる――――。


 『ねぇ、私ね.....。本格的な学校で勉強できるかもしれない。』

 『まじっ!?すげーじゃん!!!』

 『............ありがと。』

 『がんばってたもんな~!!どんどん夢に近づいてる!』

 『それでね、『あっ!どこの学校??本格的ってことは...都内?ならそんな離れねーよなっ!』

 『それがね........................
              .........私、留学するの。』

 『え................。いつ....?』

 『再来週から.......3年間。』

 『そんないきなり.......』

 『今まで隠しててごめんね、本当にごめっ『いいよ。俺、待ってるから。』

 『絶対........絶対戻ってくるか...ら.....。』

 『泣くなよ。たった3年だろ?』


 たった3年。ほんとはこんなこと思っていなかった。
 3年もたえられる自信なんてなかった。
 でも、信じていた。..........信じたかった。

 それから6年たった今も、彼女は戻らない。
 ――――俺はふられたんだ。

 君と行った遊園地とか、公園とか.........
 見る度になぜかむなしくなってくる。
 思い出だけじゃ足りない。君はここにはいない。
 
 儚い夢だったんだ。


 『ずっと一緒だよ』
 あの時の僕は幼かった。
 今となればありえない。永遠なんて........。
 この世に『永遠』なんて1つもない。
 人だっていつかは死ぬ。どんな物だって、いつかは滅びる運命にあるんだ。
 
 約束なんていらないと思ってた。
 そんなのなくても僕らはずっと一緒だと。
 そんなわかったようなこと言ってかっこつけて、本当は何もわかっていなかったんだ。
 知らない地に行って、君の方が僕なんかよりずっとずっと寂しいに決まっている。
 僕は馬鹿だ。心配するフリだけで、自分のことばかり考えていたんだ。


 永遠かどうかなんて関係ない。あの日交わした気持ちは、夢じゃなかった。
 嘘じゃなかったはずだ。
 どうしてこんな大事な気持ちを忘れてしまっていたんだろう。
 あんなにも愛していたじゃないか。
 あんなにも愛されていたじゃないか。

 せめて、あの言葉を忘れないよう。
 嘘にしないように。
 僕はここで待っている。
 それだけでいいんだ。
 

 粉雪はとけ、優しい日差しが冬の終わりを告げる。
 一瞬幻覚かと思ったが、確かに君はそこにいた。
 
 お互い言葉など何もでなかったが、それよりも君に会えた喜びがあふれ出してくる。
 やっと。やっとだね。
 何も言わず泣きじゃくる君を抱きしめた。

 ―――――花は僕たちを祝福するかのように咲き誇り、
                   優しい春の香りに包まれた。










ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

(non title)


 http://piapro.jp/t/-W0H
 の小説版です。

 かっこつけすぎましたね(笑)

閲覧数:173

投稿日:2012/07/31 17:04:54

文字数:1,422文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました