『メイドなわたしに青春ラブコメは要らない!1』

○第1話「天然ハマグリ、捕獲される?」

わたしは時藤めいこ。
出来れば地味に静かに生きていたいと願っているごく普通の大学1年生。
今日は新しいバイトに初出勤。
しかし、わたしはどうしてこうなったの…とすでに後悔。
働き先は街の片隅にある"メイドカフェ"なのだ。
とりあえず着替えてはみたが…
ふりふり、かわいい♡×100の服着て、接客なんて…恥ずかしすぎる。
加えてメイド服、こんな話聞いてないし…妙にミニなんだよ!スカートが!( ; ; )
わたし、決してこう言うオタ文化に寛容ではない。
自分の名誉のために言うが、むしろ硬派
(弓道と文学を愛している)
でも、でも、ちょっとだけだけどバイトの割がいいんですよ!
サークル活動(弓道)し過ぎて金欠なのだ( ; ; )
昨日、街中で声をかけられて、バイト代いいからって。
お金に心底困っていたわたしはふらふら血迷って、
時給1200円+歩合に、是非!と気がつけば返答していた。
そして今日この有様である。

「お帰りなさいませ。ご主人様♡」とは言えず、
「お、お帰りにゃさいませぇ、ご、ご主人さま(つД`)ノ」
やべっめっちゃ噛んだ!めっちゃ噛んじまったよ!
客「めいこちゃん、かわいいね!」
あれ?!なんか喜ばれたゾ?あれ?意外にわたしイケる?
「お、おかえりなちゃいましぇ。ご主人しゃまぁぁ」
客「めいこちゃん、かわいいー!!」
あれ?なんか喜ばれてる。
わたし向いてる、かも?わたしってかわいいの?
普段かわいいなんて言われない…
言われないからなんか嬉しい気がする…


段々仕事と割り切れてきた!
「お帰りなさいませ。ご主人様♡」
「ふうふうしてあげますね♡」
「かわいいハート描いてあげますね♡」
喜ぶお客さんの顔を見て、あらら嬉しいゾ。
わたしも捨てたもんじゃないな。ふふふと微笑んでしまう。

お!新しいお客さんさん、いやご主人様がいらした!

「お、おかえりなちゃいましぇ。ご主人しゃまぁぁ♡」
ふふ、今回はさらにロリロリでかわいく決まったぜ。

「お前、もしかして時藤めいこじゃないか?こんなとこで何やってんの?」

え、え?一瞬、頭が真っ白になる。
目の前のご主人様は…池内先輩?…同じサークルの?
ぶわーーーと顔が真っ赤。
うわーわー、なんでこんなところにいるの!いるの!
そして、さささ、さっき、わたしなんて言った?!

(お、おかえりなちゃいましぇ。ご主人しゃまぁぁ♡)
(お、おかえりなちゃいましぇ。ご主人しゃまぁぁ♡)
(お、おかえりなちゃいましぇ。ご主人しゃまぁぁ♡)

うわーーーーわーーーー!!!!
もう、わたし死ね。

◇ ◇ ◇

私はどぎまぎしながらも池内先輩を店内に案内。
「時藤って、こういうバイトしてるんだ」
「ち、違う!違うんです!先輩!これは不可効力というか、仕方なくというか」
「まあ、いいけど、注文は?」
「す、すみません…先、ご主人さま…ご注文は?」

「じゃあ、このふうふうオムライスで」

先輩、そ、それをいくんですか!?。
そ、それはわたしにふうふうしろと?先輩…何をお考えで?

「その格好、可愛いいじゃん。時藤ってさ、ちゃんとすれは可愛いよな」

「え?せん…、ご主人さま?」
確かに、女の子っぽいのは好きじゃなくて、普段着はジーパンとか多いし、黒とか紺とか茶とか選びがちだし、し○むらとかユ○クロも安いから買っちゃうし、こんな超ミニのスカートとか女っ子っぽい服、着ないけど…

「お待たせ致しました、ふうふうオムライスです」
オムライスを持つ手が少し震える。
池内先輩のとなりに座り
「では、ご主人様…お口を開けて下さい…」
緊張して震える手で、スプーンを口元へ。

先輩は、いきなり真剣な表情になる。
1秒間、見つ合う瞳に、なぜかどきりとしてしまう。
え、先輩どうしてわたしをそんな目で見る…の?
べ、別に先輩のことはただのお客様で、なんとも…

「お前、それで今まで接客してきたの?」
「へ??」
「パンツ見えてるぞ」
「え??」
下に目を向けると、脚が少し…いや、おおっぴらに開いていて…
「ベージュか」
ふあーーーー、ふあーーーー、ふあーーー!
スカートはかな過ぎて、気が回ってなかった!
わたしは朝からずっとこの調子で、
火炙りにされたハマグリの様に脚をぱかーと、ぱかーと開いて、
中身をさらしてたの?!

「お前、以外に天然なんだな」
「うぁー、先輩、すいません、ほんとすいません」
天然ハマグリはもう、疲れました…

◇ ◇ ◇

その後、先輩は「またな」と謎の言葉を残して去っていた。

もう、やめようかな。時給はいいけど、疲れすぎ。
初日から知り合いにあって、しかもパンツさらしてるの指摘され、女子力の低さ露呈( ; ; )
そもそも、先輩、誰にも言わないよね?
今考えたら、ヤバいかも…わたし秘密握られてる?
真面目な先輩のことだからふれ回ったりはしないと思うけど、メールしといたほうが無難かな。

その時、ガラケーが鳴った。

********************
「from 池内先輩」
時藤ってかわいい格好したら、やっぱ、かわいいんだよな。
それと、今日の天然っぽいところもよかったよ。
今度ご飯いかないか?
パンツ見ちまったお礼にさ(笑)
********************

あ、あれれ??
天然ハマグリ、捕獲される?

続く…

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

メイドなわたしに青春ラブコメは要らない!1 〜天然ハマグリ、捕獲される?〜

こんにちは。ひとみゆうです。

時藤めいこ18歳、池内真斗20歳のラブコメです。
ちょびーっとでも面白いなと思って頂けたら嬉しいです。
ていうか、読んで頂けるだけで小躍りしてると思います(笑)

誰も期待してないだろーと思いつつ、一応、続きを書く予定です。第2話では二人は一緒にご飯にいきます。もしよろしければ二人の行く末をお見守り下さい。

第2話はこちら→ http://piapro.jp/t/-h08

閲覧数:201

投稿日:2015/12/25 20:03:08

文字数:2,304文字

カテゴリ:小説

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