枯れた樹々置くその庭で
赤い花の名知りました
あなたに焦がれ道を踏み
匂わぬ芳香に寄せた文
夏の盛りに訪れた
片田舎、祖母の家
心痛めた養生に
私はそこですごしました
あれは汗ばむ夜のこと
蛍火などに誘われて
一人で林、奥のおく
絡む梢に潜むよう
枝に結んだ文ひとつ
名無しが宛てた紙面には
匂いばかりがありました
汗に疎んだ月半ば
袖は染み、拭き惜しみ
今宵も文を求めては
「莫迦な私」と笑いました
夜毎日毎に垂れる文
誰かが宛てた想い零れ
見えぬ言葉に、恋い焦がれ
不毛な事と存じます
愚かな阿呆と云えましょう
筆跡(「て」)すら知らない顔無しに
甘くのぼせて病んだのです
祖母の目盗み道を踏む
日を待たず、灯も持たず
今宵もいとし貴方さま
逢瀬のように逸る胸
絡む梢に潜むよう
枝に結んだ文ひとつ
名無しが宛てた紙面には
花の匂いと淡い文字
摘み開いた瞬間に
爆ぜて萎んだ赤い花
ほころび悦ぶ隙もなく
恋の轍は途々切れる
冷えた甘露の匂いには
祖母の名前が添えられて
在りし日彼女に語られた
と或る逢瀬の物語
胸打つ刃は酷けれど
甘い匂いは優しくて
見知らぬ祖父の影を想う
絡む梢に潜むよう
枝に結んだ文ひとつ
名無しが宛てた紙面には
想いばかりがありました
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