浮き沈む夜
青い爪の音
やるせなさばかりが慰める
美しの君
絵画の姿
はしばみ色の紙に傷
開けて、開けて、駆け下りた戸を
いくつ、いくつ、くり返し
どこへ、どこへ、続くのか
私の足は知らないの
たゆむ電線
折れた標識
懐古ばかり選び目をすがめ
壁紙を剥ぎ
表札を塗り
足裏ばかりを置いていく
明けて、明けて、日をくり返し
ひとつ、ひとつ、終わらせる
行きつ、行きつ、戻れない
私の足はどこ?
東を指した知らない指が
夜より深く青くなる
あたらしき陽を追いかけて
開けて、開けて、開けて、……
浮き沈む夜
青い爪の音
やるせなさばかりが慰める
美しの君
絵画の姿
はしばみ色につけた傷
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