<Dear My Friends! 第2期 第28話 ミゥ救出作戦>
(ヤマト国 オーエド地区 セントラル区 ニンギョーチョウ ギア整備工場“カガ”)
そんなこんなで、自分の相棒“ギア・アイボー”を手に入れたキョウは、歩くたびに床がミシミシ言うこともお構いなく、皆が待つ整備工場内のギア用ドックに、“普段通りの歩み”で向かいました。
キョウ:よぉ! みんな! 待たせたな!
確かに全員の視線はキョウの方向に向けられました。しかし、キョウ本人というより、注目していた物は、当然のことながらキョウが装着していた、“ギア・アイボー”、だったのは言うまでも無いことでした。
テル:そ、それが、イグゾウさんがくれた、君の新しいギアか?
キョウ:そーよ! 名前は“アイボー”! さぁ、おまえからも挨拶しな!
すると、外部スピーカー側から、アイボーの声が発せられたのでした。
アイボー:皆さん、キョウさんのギアの“アイボー”です。コンゴトモヨロシクです
イアは冷や汗を1つかいて、こう言葉をかけました。
イア:あ、あの、いや、私の方の世界でも機械が喋ったり歌ったりするのは、そう珍しい事ではないんだけど、それにしても、随分、お喋り、巧いですね?
テル:そうだな、かなり流暢だな
そういうと、キョウの意思に反して、ギアの意思なのか、キョウは少し自慢げな姿勢になりました。
アイボー:操縦者とのコミュニケーションがしっかり取れないと、良い結果は生まれない、そういうモットーで、イグゾウさんは私を作ってくれました。テイマー側のギアも大分参考にしたようですが、このヤマト国が古来から得意としていた、【音声合成技術】、【A.I】の技術も多分に成果に貢献したのだと思います
キョウ:すっげーだろ? おかげでこいつとの会話や意思疎通は、ツーカーって奴だ!・・・って、それどころじゃねーな
そういうと、どちらかというとお調子者なキョウ(ルォ)の顔が真顔に変わり、『核心部分』、に触れることになったのでした。
キョウ:あんたらのボス、助けねーと、いかんな
***
キョウはアイボーに、ギア製作用の連絡ボードへ、この周辺の地図を投影させるよう命じたのでした。
キョウ:あんたらのボスの…なんて名前だっけ?
ミズキ:“ミゥ“様だ
キョウ:そのミゥさんがいる、いわゆるUTAU側の情報集積地区『カンダ』を陥落させ、ミゥさんを奪おうとしているテイマー部隊は、あんたらには失礼な話だが、無人機とたいしたギアを持たない“下っ端テイマー兵士”達だけだ
ルコ:うむむ…、そんな連中に陥落寸前だったとは、UTAU側の隊長として、正直情けない…
キョウ:まぁ、それはそれとして、ザギンベースでそれを片手間で指示を送っているのが、オレの“元”上官であり、上級テイマーの『チンシャン』だ。ギアの名前は『サーチ』、まぁ文字通り、“基本”能力は、“検索”、だ
デフォ子:なんか、あんまり強そうな能力じゃないね?
モモ:私たちのギアだって、検索機能位ついているし…
ユフ:まぁ上官として、高度な情報収集が出来るのはいいけど、それって“諜報部隊”の仕事じゃないの?
キョウ:・・・・・・・オレはギアの訓練で、チンシャンに勝ったことが、“一度も”ない
ルコ:!? ルォ時代のあの君の能力を持ってしてもか? たかが検索ギアに!?
キョウ:攻撃を仕掛けた瞬間、“検索・分析・解析・攻撃と迎撃と回避のプラン”全部読まれ、攻撃が当たる範囲に近づいた時に、向こう側の攻撃や回避が終了している…。一発の銃弾も、一撃の攻撃も入れたことがない、絶対当たるはずの攻撃を仕掛けたら全部回避されて…、最終的に最も効率の良い攻撃で、オレは訳がわからないうちに追い込まれて“GIVE UP”を宣言せざるを得なくなった…
ルコ、デフォ子、モモ、ユフ:・・・・・・・
テル:それでは、こちらはどうすればいいんだ? 我々でも、それでは打つ手無いのだぞ?
しかし、キョウは、ニタっと笑みを浮かべた。
キョウ:だから、この“相棒”と“君たち”が役に立つんだよ。まだあいつは“極秘裏”に開発された“アイボー”のデータを全く持ってない。解析には時間がかかるし、プラン作成も手間取るはずだ
イグゾウ:なるほどな。参考にした技術はテイマー側のギアだが、“どう利用した”かは、テイマーでもしらんはずだ
キョウ:更に、オレでも今でもなんだか理解できない、君たちの“マホウ”って奴など、ヤツのデータベースにはなく、検索も時間がかかるだろう
レン:つまり、キョウさんがメイン、俺たちが援護、そんな感じか?
キョウは、なぜか、ちょっとだけ首を横に振った。どうやら、ちょっと違うらしい。
キョウ:オレが短時間に派手に暴れて、圧倒的攻撃を見せつけ、更に“チンシャンを煽る”暴言を言っておく。どうせ“わけがわからないヤツに、負けました、更にチンシャンを名指ししてました”ってチンシャンに敗戦報告をすれば、“サーチ”のギアの本能である“知りたい欲求”と、まぁ私が行って、とりあえず蹴散らしておこう、って考えるはずだ。少なくても“前者”はこれからの作戦を立てる上で役に立つし、数名の敵軍なんぞ、それで十分だ、そう考えるはずだ
テル:・・・・・・チンシャンは短気なのか?
キョウ:冷静なんだが、サーチでの情報収集には余念が無い。そして“探究心”が強い。無論、総司令官の“マカ”の許可が必要だが、どうも、そのマカも、今度は“テル”、君たちの素性が知りたいらしく、“マホウ”にも興味があるらしい。おそらくさっきの許可は、即刻下ろすはずだ
テル:・・・・私と似てるな
キョウ:とりあえず、オーエドタワーでふんずりかえっているマカはいいとして、まず潰すべきは“ギア『サーチ』の能力”の方だ
ルコ:で、まず、どこに反撃をかける?
キョウは投影している“ヤマト国 オーエド地区 セントラル区 ニホンバーシホンチョー方面 シュトコー跡”に、ポインターを合わせた
キョウ:“カンダ”に繋がっていて、攻撃がやりやすく、君たちも移動がしやすく、ここからのルートが確保できる、ここだな。高速道路跡が残っていたのは運が良かった
ルコは自分の端末で、UTAU側の情報と照らし合わせた上で、頭を縦に振った
ルコ:ビンゴだ。そのルートなら、我々もやりやすい・・・・・が、悪いがここは、我々のギア部隊でも結構苦戦している所だが?
キョウ:大丈夫だ、問題ない
デフォ子:おお!言葉の意味はよくわからないけど、とにかくすごい自信だ!
モモ:牛丼ひとすj
そこでルカ姫が、モモの口元を人差し指で押さえてこう言った。
ルカ姫:それ以上はだ~めだめよ~♪
その後、キョウからのいくつかの作戦説明、イグゾウ技師によるアイボーの説明、皆の提案や細かい事、打ち合わせ、デフォ子とモモとユフのギアの整備と装備追加が終わった後、ニンギョーチョーにある、このギア整備工場“カガ”をあとにした。ただ、いつだけ、今までと違った事があった。ある人物が加わったのだ。
イグゾウ:すまないが、これから先も、私を連れて行ってくれ。技師として全員のギアの整備も出来るし、整備工場の手配も出来る。それに、我が妻“ユキ”と、一人息子の“ミナト”を・・・・・・奴らに殺されている。奴らが滅びるところを、私の目で確認したい
そして、時間は、この先の、3時間後に戻る。
***
(ヤマト国 オーエド地区 セントラル区 ニホンバーシホンチョー方面 シュトコー跡)
キョウの“ど派手な”掃討作戦により、この地区の無人ギアと敵のテイマー兵士がいなくなってから、20分後、上が北のマップで意味するところの“下”に位置する“ザギン”方面の“シュトコー跡”から、“ガソリンエンジン”の音特有のエンジン音と排気音が響いてきた。全員がそちらを見ると、ちゃんと、“オープンフェイス型でゴーグル付きのヘルメット”をかぶって、マフラーをなびかせながら、飛行するギアを伴って、アメリカンタイプのバイクにまたがって近づいてくる、一人の女性が見えた。
キョウ:・・・・・来たか・・・・・・相変わらず、タイマン勝負の時は、趣味バリバリだな・・・・・・・・
その女性は、キョウの10m手前で、ブレーキ音を効かせて停車し、長い黒髪を靡かせてヘルメットを脱ぎ、そしてその横に飛行型ギアを立たせて、キョウの方に目線を向けた。
女性:待たせたな。「ご希望」通り、来てやったぞ、ルォ・・・・今は、ゾラ=キョウ、だったな
キョウ:・・・・・ゾラ=キョウとその兄弟のデータは、マージにあったからすぐ照会できるし、このさっきまでのオレの口ぶりに該当する“知人”はオレだけ、だからデータ照合しなくても、オレだとわかった。そうか? チンシャン
チンシャンは顔つきを変えずに、答えだけ淡々と述べた。
チンシャン:ご名答だ。特に“サーチでの人物直接照合”は行っていない。マージで吸収した異能者の、ゾラ=キョウ、ゾラ=ユウ、ゾラ=ウィル、の3名の照合だけ行って、姿を確認しただけ。中身はおまえしかいない、そう確信したから、サーチを使ってない
キョウはこの言葉を聞いても、特に嫌な顔をせず、むしろ、褒め称える言葉をかけた。
キョウ:それはどうも。こちらもいちいち、“マホウ”の七面倒くさい説明をする手間が省けた
チンシャン:困れば、サーチで瞬時検索すればいいからな
しかし、今度はキョウの目線は、脱いだヘルメットとゴーグルと、そしてエンジン音が切れたバイクに移った。
キョウ:しっかし、相変わらず、時代錯誤の“ヘルメット”、“ガソリンエンジンのオートバイ”、“マフラー”、フルセットだな。しかもそのバイクの名前、趣味丸出しだな
そのバイクのガソリンタンクの横に刻印された文字は、
『中国制造的自行车机动中华人民共和国“悟空”』(中華人民共和国製機動バイク”悟空”)
であり、自分の母国の昔の名前時代に製造されたバイクだった。
チンシャンは目線を崩さずに、キョウと目線を合わせて、言葉を続けた。
チンシャン:母国のバイクは世界一だ。私が所有しているガソリンバイクの製造国は、全部これだ。なんか文句でも?
キョウ:オレも人のことは言えねーが、俺らの母国のむかーしの製品は、パクリだらけだろーが…
チンシャン:オマージュ、と言って欲しいものだな
キョウ:・・・・・・まぁ、いいや
キョウが呆れた表情をしたので、チンシャンは、そこだけは譲れない気持ちもあって、念を押した。
チンシャン:タイマン勝負の時、私の趣味で向かうのは、マカ様公認だ
キョウ:ギアで移動できるとはいえ、こんな状況で、すぐカラになる“ガソリン”で動くバイクで来るとは、良い度胸だな
チンシャンは少し笑みを浮かべた。
チンシャン:しかも、片道分しか入れてない。このバイクはここで捨てるつもりだ。代わりはいくらでもベースにある。愛車は持たない主義だ
キョウ:片道って事は、ここが自分の墓場だから、入れる必要は無い、そう、覚悟したからか? 違うだろうけどな
チンシャンは、面倒くさいヤツだ、といわんばかりの表情を浮かべながら、面倒くさそうに答えた。
チンシャン:“必要ない”からだ。そして私は昼食前なので少々空腹だ。おまえらをさっさと片付け、情報を入手した後、サーチでグルメ検索してヒットした、近くの中立地帯に出店した中華料理店のお薦めメニューの“青椒肉絲”の定食を食べるため、徒歩移動で帰れるようにしたいから、こうしたのだ
あれ? っとした表情にキョウは変わった。バイクでもそれくらいの移動は出来るはずなのに・・・・・
チンシャン:・・・・・私は今日はおまえのど派手な大暴れのおかげで、少々立腹している。その中華料理店でのランチでは、紹興酒で一杯やってから帰るつもりだ
キョウ:・・・・・・・・飲酒運転は、ダメ! 絶対! ってか?
チンシャン:今も昔も、それだけは変わらん。おまえも絶対守れよ?
キョウ:心得ておく
イグゾウとイアは、このやりとりを聞いていて、なんか吹き出しそうになった。この二人、実は本当は、仲が良いのでは・・・・。だが、そう思っても、全員チンシャンに対して、ツッコミを含め、一切あらゆる言葉を封じていた。ここに来る前に、キョウに念を押されていたのだ。
『チンシャンに俺以外、絶対声をかけるな。全部分析されて、後々の戦闘で不利になる』
そして、やりとりは、ようやっと戦闘関連、に移る事になる・・・・・・
(続く)
CAST
イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-
ルカ姫:巡音ルカ
魔導師アペンド:初音ミクAppend
魔導師テル:氷山キヨテル
僧侶リン:鏡音リン
勇者レン:鏡音レン
異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ
裁判官 勇気めぐみ:GUMI
ヤマト国からの旅人三人組
瑞樹(ミズキ):VY1
勇馬(ゆうま):VY2
兎眠りおん(りおん):兎眠りおん
ミゥ:Mew
欲音ルコ(ルコ):欲音ルコ
唄音ウタ(デフォ子):唄音ウタ
桃音モモ(モモ):桃音モモ
雪歌ユフ(ユフ):雪歌ユフ
義 井具蔵(ヨシ イグゾウ)(イグゾウ):某演歌歌手
ゾラ・キョウ(キョウ)=生まれ変わったルォ:ZOLA PROJECT (KYO)
チンシャン:某女性中華ボカロ
マカ:某少年中華ボカロ
ティエンイ:某女性中華ボカロ(ルォの姉(こちらが本家“ルォ・ティエンイ”で、女性中華ボカロになります))
その他:エキストラの皆さん
***
補足:イグゾウ技師の亡きご家族の名前は、元ネタの方の曲名を参考にさせて頂きました。知りたい方は、各自ググッてみてくださいね♪
Dear My Friends! 第2期 第28話 ミゥ救出作戦
☆オリジナル作品第16弾である、「Dear My Friends!第2期」の第28話です。
☆間がまたあいて、本当にすみませんです <(_ _)>
☆作戦会議と、チンシャン戦の序曲です。
☆チンシャンとキョウ(ルォ)、マージの件が無ければ、いい仲だったのかもしれませんね
☆ヘルメットなどの種別名称はwiki、バイクの中華の名前は、ネット翻訳を使いました。翻訳の所は間違っているかも・・・
☆次回は、対チンシャン戦です!
***
私がここに投稿したボカロ小説のシリーズ目次の第1回目です。第1作目の“きのこ研究所”~第8作目の“部室棟”+番外編1作目です。
作品目次(2009/12/25時点):http://piapro.jp/t/5Qsh
同じく、目次の第2回目です。第9作目“鏡音伝”~第15作目“ルカの受難”の途中までです。
作品目次(2010年1月6日~2012年2月7日):http://piapro.jp/t/9GY1
更に、完結した『Dear My Friends! ルカの受難』のみの目次も作りました。
作品目次(Dear My Friends! ルカの受難):http://piapro.jp/t/qj6A
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