5 ミスティ



　ミスティさん。歳は20代後半で独身のOL。彼女はギルドの設立時から在籍していてる。根っからのゲーム好きでこのゲーム以外にも過去にさまざまなゲームをプレイしてきている。そしてその自身のゲームをやっている画面を録画して動画サイトに投稿しており、これがかなりの人気を博している。
　ミスティさんの人気の秘密はただ単に比較的珍しい女性実況プレーヤーということだけではなく、そのトークにある。ミスティさんの個性的な大人っぽいしゃべり方でゲームを解説したり、時に全然関係ない話もする。その一つ一つがユーモラスであって聞いていてとても楽しい。さらにミスティさんはゲームのことを写真付きで書いているブログをもっているのであるが、それとは別に人生相談もやっている。本人によるといつからそうなったのかよく覚えてはいないが、あるファンの人がゲームのブログで悩み事を書いてきたのでそれについて真面目にアドバイスをしたところ、他にも悩み事を書いてくる人が出てくるようになったらしい。そうして今現在のようにゲームとは別に人生相談のブログが出来上がり毎月十人以上の悩める人が訪れている。
　これも人生経験豊富な女性らしいアドバイスで大変な人気があり、そのやりとりを閲覧している人の数はゲームのほうのブログよりも多い。ただ、本人によるとどんどん相談者の数が増えてしまって返答をするのは相当大変らしい。実際問題全部の相談に答えることはできないので、回答できるものだけ選んでやっている。
　そんなネットゲームの世界で有名人のミスティさんはやはり高嶺の花である。このゲームをやっていて彼女と一緒にいるといろいろな人に声をかけられている。動画見てますとか、いつも応援してますなどファンからの声がかかる。ミスティさんのゲームのキャラクターもまた大人びたスレンダーな体系の女性で、ミスティさん本人の大人なイメージとよく合っている。実際に会ってみたら素敵な人なんだろうなと私は同じ女性として何かあこがれるものがあった。
　ちなみに同じ有名人のギルドマスターセシルさんとは数年前から別のゲームで知り合った仲で、このゲームにはセシルさんから誘われて始めたらしい。
　それじゃあセシルさんのことはレンよりも知ってるのかなと私はその話を聞いて思った。
　
　ミスティ〔どうしたの？遠慮せずに話していいのよ〕
　MASATO 〔いえ、別にたいしたことじゃないです〕
　ミスティ〔フフフ　わかるわよ。恋の悩みでしょ？〕
　
　やはりするどい。というか適当に言って当たっただけだろうか。どうしよう・・ミスティさんになら話してもいいかもしれない。私が本当は女の子だって言ったら驚くだろうな。でもやっぱり他の人達はともかく同じ女性のミスティさんには知ってもらいたい。私はまず自分が女であることから話した。
　
　MASATO　〔というわけでレンにそう言われたので男キャラなんです・・〕
　ミスティ〔ｗｗｗ面白いわねレン君もｗ〕
　MASATO　〔ぜんぜん面白くないですよーー(ノДT)　おかげでこんな中途半端なキャラなんですよーキャラ変えたいです！！〕
　ミスティ〔あら、そうなの？〕
　MASATO　〔だって、女の子のほうだったらかわいい服とかあるし、着せ替えして楽しそうじゃないですか～～〕
　ミスティ〔ｗｗそうね、確かに　でもあれね、あなたやっぱり女の子だったのね〕
　MASATO　〔え！？　もしかしてわかってたんですか？〕
　ミスティ〔うーーーん　なんとなくね　もし違ってたらゴメンって感じだったけどねｗ〕

　やはりするどいなこの人は・・。もうこうなったら全部話そう。いやでもまだ年上の人で好きな人がいるってことだけにしよう。相手がセシルさんとは何かまだ言えない。　私は相手がセシルさんと言う事はごまかしてミスティさんに打ち明けた。

　ミスティ〔あらあらあら、ゲームの中で恋しちゃったの？それは大変ね。まぁよくある話だけど、相手が遠い所に住んでるとショックよね。〕
　MASATO　〔家は東京のどこかだと思います〕
　ミスティ〔あら、そうなの？ならそんなにMASATO君と遠くないのね　あれねMASATOちゃんて呼んだほうがいいのかしらｗ〕
　MASATO　〔あの・・・私の本名リンって言います　リンって呼んでください〕
　ミスティ〔リンちゃんって言うのね　兄弟がレンちゃん　合わせてリンレン、かわいいわねーーｗｗ〕
　ミスティ〔まぁ若いんだからどーんといきなさいね　ただ、相手がどんな人かはよく気をつけてね　実際に会ってからとんでもないことになったら大変だからね〕
　MASATO 〔はい、ありがとうございます〕
　ミスティ〔何か進展があったら教えてね〕

　とりあえずミスティさんにいろいろと話ができてうれしかった。

ジャスティス〔おーい、MASATO今どこにいる？〕

　ミスティさんと話をしているときに、同じギルドの仲間ジャスティスさんから呼ばれた。あ、しまった。一緒にクエストに行く約束を昨日したのを忘れていた。


6　ジャスティス　その1へ続く