13番地の英雄の 腕の下で待っているよ
そう約束して幾らも経つけど 今日も誰も来ない
繰り返す諸行 人の世の無常 黄昏と暁に鳴り響く半鐘
刹那に瞬いた明星を仰ぎ今遠くで已んだ鉄(くろがね)の無双

言論の自由なき世 生存権無保証
うばたまの牢獄壊してやろうと
勝手に叫んだ公約(テーゼ) 今本懐は遂げられ 
解放された魂は寒さに泣いているよ

恨み晴らすよな掃射 傾いでいく精舎
冬空にあふれ出す花の手旗
あらたまの年告ぐ天孫 転がりだす玉音
全て筋書き通り君がいないだけさ

志得ざればこの地を踏まず 誓い合ったあの日の言葉遠く
志無くしてもここで待つと 今日も狂い咲きの桜花を見る

始まりの広場を染める 葡萄酒の艶めく紅色(クラレット)
時代が動くその影で愚かにも繰り返す過ち
笑ってくれないか 悲しい夢だと
十二月のおとぎの使者が運んだ幻よ
交わす祝杯に浮かぶ故人(とも)の面影


強き言葉を叫び それを喜ぶ民
武器(オモチャ)を手にバカな軍人気取り
悪戯仲間従え 大人たちに牙向け
残されたものは幾らの価値もなし

菓子じゃなくパンを そして博(ひろ)く愛を
燕雀は鴻鵠と相成り叫ぶよ
響く現実(リアル)の嘲笑 こぼれる涙は氷晶
永遠に失われた君の笑顔

後ろ盾なき爛漫な勇敢 密かに夢見た通俗な栄冠
我が力かえりみもせぬ 僕らの理想(イデア)はひと冬の酔夢譚

憂鬱な日曜が明けて 月曜に目を覚ませば
そこに広がるのはもう青草も無き悪夢の跡
飢えは満たされず 傷が増えただけ
ここには本物のヒーローはいない
裂いたパンは口に届く前に地に落ちた


もう戻れないんだよ
僕も彼らも君も
最後の笑顔が今も貼りついているよ
君が止まっても もう動かなくても せめてこの手だけは離さないでいたい
すべての終わりまで


権力者が去り理想の国(ユートピア)は死に 君と魅(み)ていた長い夢は終わり
大人になり今それでも希望抱く 最後の抵抗で時代(とき)に刻む証

創造の前の破壊と 古今の識者たちは慰める
こんなものを時代の過渡期と呼べと言うのか
ならば撃ち落そう、雪のせいにしよう
君のいた旧暦も新世紀もすべて
諸悪の眉間に向けて今引き金を引く

さようなら今、幕を下ろす 空白の時代の物語(ブィリーナ)に
聖夜に浮かれすぎて惑わされた兵(つわもの)の夢に
笑ってくれないか 最後に一度だけ
時代に捧げられた生贄の花嫁よ
偶像の砕ける音で今未来は終わる

13番地の英雄の 腕の下で夢見た物語
昔々ここに集った同志の 笑顔はもう戻らない
破戒の代償 歴史は無情 誰もいない帝都に差し込む春暁
忘れ去られた救国の将の下置き去りにされた希望と夢想

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

最後ノ十二月党員ノ追想ト抵抗

―――――革命の終わり。そして誰もいなくなった。

「Hello, world」から「ぐっばいゆーりぃずでい」にわたる、「革命」シリーズのクライマックス。最後に一人だけ残された、革命の志士の思いや如何に。

押韻の練習として作りました。リズム感が出せてるといいなと思います。

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投稿日:2013/07/28 22:29:31

文字数:1,124文字

カテゴリ:歌詞

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