その日の夜。
 「レン」
 「何だよ、リン」
 「あのさ、マサ兄だけどさ、大丈夫かしら?」
 「確かに心配だよな」
 「ねえ、私たちに何かできないかしら?」
 「俺たちにか?確かにミク姉だけに頼りっぱなしっていうのもよくねえよな。だから、俺たちにできることはやっておいた方が良いな」
 「それならさ、マサ兄の所にいってみようか」
 「そうだな」
 そういって、相談していたレンの部屋から出て、雅彦の部屋に向かう二人。部屋をノックする。
 「どうぞ」
 そういわれ、中に入る二人。
 「リンちゃん、レン君、どうしたんだい?」
 「ねえ、マサ兄」
 そうレンから呼ばれて振り返る雅彦。
 「どうしたんだい?」
 「…あのさ、マサ兄、辛かったらさ、俺たちにいってくれても良いぜ?俺たちは、全然ミク姉より頼り無いかもしれないけど」
 「私たちだと、ミク姉みたいにマサ兄の全てを受け止めることはできないかもしれないけど、そうだとしても、少しでもマサ兄のために役に立ちたいの。だって、私たちは家族だから」
 少し気恥ずかしそうにいうレンとリン。そんな二人を、雅彦は抱きしめる。
 「…二人とも、ありがとう。ひょっとしたらだけど、二人を頼ることになるかもしれない」
 「あのさ、やっぱり、今も話せないの?」
 「ごめん、今も話せないんだ」
 「それがマサ兄の選択だったら、俺たちはそれ以上は追求しないよ。でも、そのことで一番傷つくのはマサ兄だと思うな」
 はっきりというレン。
 「それはミクにもいわれたよ」
 苦笑しながらいう雅彦。
 「…分かったよ。俺たちがいいたかったのはこれだけ。それじゃ、おやすみ」
 「お休み」
 雅彦の部屋から出る二人。
 「結局、マサ兄って、何で話せないのかな?」
 「分からねえ。たまにマサ兄ってそんな所あるよな?」
 「そうね。本当に、何でだろうね」
 「長年教授をやってるマサ兄でもこんなことがあるんだよな」
 「でも、そんな所がマサ兄の人間くさい所よね?」
 「人間くさい、つーか、変わってる所だよな。だけど、俺、マサ兄のそんな所、嫌いじゃないぜ」
 「私も」
 「…それじゃ、俺たちも寝るか」
 「そうね、おやすみ」

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初音ミクとパラダイムシフト4 3章22節

閲覧数:30

投稿日:2017/03/09 22:22:55

文字数:923文字

カテゴリ:小説

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