あなたもわたしもいらない子
父も母もない　不要な子

そんなあなたと巡り会い
あなたの胸に同じ傷を見て
わたしは思わず手を伸ばしたのです
わたしは思わず舌を伸ばしたのです

その傷が、同じ形をしていたから
傷が、同じ色をしていたから
きっとあなたも同じだろうと
わたしを同じ孤児だろうと
気づけば触れていたのです
気づけば舐めていたのです

あなたもわたしの傷に触れ
わたしの傷に舌這わせ
かわいそうだと泣いたのです
わたしも一緒に泣いたのです
あなたと一緒に泣いたのです

わたしはあなたと旅をした
行くあてもない旅をした
あなたと一緒なら恐いものはなかった
あなたがいるから、わたしも一歩を踏み出せた

でもあなたも、わたしも、傷負う身
一緒にいてもいいのですか
一緒に旅していいのですか
傷を負ったまま　ともにあることは正しいのですか

傷を舐めあい　慰めあって
傷に触れ合い頬ずりをして

それは正しいことなのですか
癒えない傷はずっとこのまま
永遠に傷を抱いたまま
あてのない旅を続ける
是はただしい道なのですか

わたしは傷をかきむしり
あなたがとめるのも聞かずに深くした
抉った傷から赤い心臓
あなたも見せて　あなたの心臓
その奥に、きっとわたしたちの求めるものがある

あなたもわたしもあてどなき旅
父も母もない　不要な子
行き先のない　迷い子たち

ならばわたしはあなたを標的に
あなたはわたしを目的に
お互いを求める旅を続けましょう
あなたはわたしで　わたしはあなた

わたしはあなたのすべてを求め
あなたはわたしのなにもかもを
得るために歩き　抱きしめるために手を

わたしはあなたと旅をする
あなたを求める旅をする
あなたと一緒なら恐れるものはなにもない
あなたがいるから、わたしはこれからも歩いていく