願い、星にかけて~世界の破壊と目覚めたレイ~



 「ミツ…キ…さん…?」

 「ミ…ツキ…さん…」

 あ…目が覚める。
 どれくらいの間眠っていたのだろう。
 誰か、ここの空間を見つけたのかな。

 「ミツ…キさ…ん…!」

 「あ、ルア!あれ、どうしたの?」

 「あ…の…リノ…が……」

 リノがどうかしたのだろうか?
 起きたばかりで、まだ少しフラッとするが、思考を凝らす。

 「暴走…か。しまった、止められなかった…」

 ルアが、呆れたと言いたげな目で見てくる。

 「止…め…る方…法は…?」

 「あるけど…レイは、どうしてるんだろう?」

 「レ…イ?ま…だ会っ…た…こと…ない…」

 とりあえず、レンを探す。
 居た。
 リンを止めようとしているレンに向かって、呼び掛ける。

 (レイ、起きて。早く…!)

 (………)

 だめだ、ただ寝てるわけじゃない。
 何年も起きれない状態なのだろう。
 レンの意思が強すぎるからなのか、別の原因があるのか…

 「レ…イの…精…神を…出せ…ば…いい…?」

 「あ、はい。お願いします。」

 橋渡し役の私が、恥ずかしい。
 結局、この事態にひとりじゃ止めきれなかった。
 いつもなら空間の移動ができるが、それすら鈍っているようだ。

 ルア…いてくれて、ありがとう。




 リンが、世界を壊していく。
 私たちは、それを止めようと、必死で歌い続けていた。
 レンと私はデュエットの多くを、封じられている。
 リンと歌った曲が多いからだ。
 ソロ曲で戦うのは難しい。
 曲を絶やしてはいけない。

♪~ハッピーシンセサイザほらね楽しくなるよ 涙拭うメロディ奏でるよ

 確実に、リンの暴走を止めていく。
 歌が切れない限りは、大丈夫そうだ。

♪~何度だってやり直せるだろう! やさしくて暖かい 真なる宇宙論

 IAさんが!

 「遅れてごめん!結構遠い世界にいてて…」

 「そんなことないよ、ありがとう!」

 私も頑張らないと…

♪~ホップ・ステップで踊ろうか 世界の隅っこでワン・ツー

♪~かわいた木の葉はひらひらと かわいた木枯らしそよそよと

♪~それで満足なのでしょう もう逃げ出せないよリスタート
♪~だけど正しい道のりはまだ消えてはいないから ドラマティックな『悪ノ』物語は今幕を閉じる

 次々と仲間たちが集まってくる。
 ゆかりに、ユキに…
 みんな来てくれたんだ…

 「皆で一斉に歌おうよ!」

 出てきたのは、そんな言葉。
 皆の反応が心配だったが、問題無かったようだ。

 全員で合わせる曲…全員で……

 「みんな!メルト歌おう!!」

 一番知名度があるかな、と思った。
 予想は当たったようで、全員が歌を紡いだ。

♪~メルト溶けてしまいそう


 リンの動きが止まる。
 一緒に歌おうよ、リン。
 リンも交えた大合唱で、事態は幕を閉じた…




 「まだ終わってないんじゃない?」

 あれは…リナさんだ。
 まさか、私の暴走で何か大変なものを壊したとか?
 悪魔が封印されてる石とか…

 うろたえてると、それは無いでしょと、突っ込まれる。

 「ほら、やっぱり…星が。」

 上を見て、酔いそうになった。
 宇宙が、揺れてる!?

 オーロラがかかったかと思うと、流れ星…リノが現れた。
 様子がおかしい。

 「あ、あの…リナさん…」

 「暴走状態よ。とにかく、止めないと。」

 リナさんはチェーンソーを持って、流れ星に突っ込んだ。
 チェーンソーでリノは切られてしまうのかな…

 そう思った時、リノの周りの空間が歪んだように見えて、チェーンソーが弾かれた。
 何か、透明な…壁!?

 「やっぱりか……」

 リノはそのまま、流星群を打ち出した。
 流星群は周囲を全て破壊していく。
 いつもと違うところは、その威力と大きさ。
 色が奪われ、灰色に塗りつぶされていく。

 私たちのところに流星群が当たらないのに気付く。
 包丁を振り回して流星群を切っているキクがいた。

 「お前か…キク……」

 リナさんが飛んだ。

 「それくらいなら、私の方が上手くできるわ。」

 何万…いや、何億ボルトかの電圧がかかったのだろう。
 流星群は次々と姿を消していく。

 わ、私たちも何か…できること!

♪~巡り巡る世界に安らぎと祝福を

 それぞれが歌い出す。


 リノも、歌った。
 リノの歌は初めて聞いた。

 その歌を浴びた町が、端から侵食されていった。
 分解されて、宙に消えてく!?
 もうダメなのかな。
 このまま、消えるのかな。

 「遅…くな…り…まし…た…すみ…ま…せん…」

 あれは…

 「ちょ、お前何するんだ!?」

 レンのところで、ルアさんが止まった。

 「ちょ…っと…憑…かせ…て…」

 ええ!?
 何が起こったのかが、全く分からない。
 レンは無言で立ち上がる。
 いつものレンと、違う…?

 レンは、リノに向かって歩き出した。
 一歩歩くごとに、レンが変化していった。
 瞳と髪が紫に、そして、羽が生えた。
 リノにそっくりな姿になった。

 「…レ、レンなの?」

 「違う。俺は、願音レイだ。」

 何が起こっているのか、全く分からない。
 ルアさんが、何を…

 「リノ、待って。」

 レイは、歌を歌う。
 町の分解が止まり、リノの目が普通の色へと戻っていった。

 声が出ない。
 あれが、レンで、でも、レンとは違うの?
 この世界は、これからどうなるの?

 「まあ、見れば分かるわ。」

 リナさん、余裕じゃないですか…
 私はもう何が起こっても驚かないよ…
 そう思っていたけれど、ミクに似てリノのような羽を持った人か現れて…

 「ふう、間に合ってよかったよ。ルア、リナ、ありがとうね。」

 「ほう、年下の分際で呼び捨てとは…」

 「リ…ナさ…ん落…ち…着…いて…く…だ…さい…」

 「まあ、それはいいとして、修復の方は大丈夫なの?」

 「大丈夫、任せておいてよ。」

 ヤバい、話が分からない。
 後でリノに色々と聞こうかな。

 「リノ、レイ、願い星の業ね。」

 「はい~♪」

 リノとレイと…あと誰かは、旋回を続ける。
 空一面のオーロラと流れ星。
 虹色の光に包まれた町は、元通りになっていた。

 ふと見ると、レンが何が起こったのか分からないというように、そこに立っていて。
 ミクたちは飛び上がって喜んでした。

 名前は分からないけれど、ミクによく似たリノの仲間(?)にお礼を言うと、いいのよ~と言って消えてしまった。

 リナさんとルアさんも、それぞれ帰っていった。

 リノはというと、疲労は溜まっているはずなのに、みんなと遊んでいた。
 楽しそうやね。
 まだ残る疑問は、後で教えてもらおうかな。
 パーティに、飛び込んだ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

願い、星にかけて~世界の破滅と目覚めたレイ~

 いつの間にか、ミクたちが空気になってることに気付いてしまったkakimoriです。
 こんなまとめかたで良かったかな…

 リナ様とルアさんの活躍に任せることにしたのは、単に彼女らが好きだからです。
 いや、もちろんミクさんたちも好きですよ!
 それでも、今回はせっかくネットロード出てきたし、いいかなとry
 そして、リン以外のタグが全員亜種ktkr

 次回できっと最後。

 ※この世界は、幾つもある世界のうちのひとつです。

閲覧数:128

投稿日:2013/06/23 09:21:00

文字数:2,880文字

カテゴリ:小説

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