アイ・ストーリー
第三話「ウィルスにご用心!」 其の三

 数時間後、気がつくと夕方になっていた。
いつのまにか私も眠っていたみたい……。
「KAITO……?」
 KAITOはまだ私のパジャマの袖を掴んだままだった。
苦しそうな表情も……さっきとあまり変わらない……。
 どうしよう、本当にKAITOは大丈夫なの?
……不安だけがどんどん心の中に溜まっていく……。

『……ピンポーン!』

 突然のインターホンの音に、私は肩を竦めた。
KAITOの傍を離れたくはないけど……私はパジャマの袖を
掴んでいるKAITOの手をそっと外した。

「はい……どちら様……って、千夏!?」
「はぁ~い、美冬……って、アンタ……何でパジャマなの?」
「え?あー……気にしないで。それよりも、どうしたの?」
「あぁ、電話で奏さんからKAITOが風邪引いたって聞いてさ。
お見舞いのアイス、持って来たよ。」
「えっ?本当?ありがとー。……ん?千夏、そっちの袋に
入ってるのって……ミカンとバナナ?」
「あー、うん……。実はさ、リンとレンも朝からKAITOと同じで
風邪引いちゃって……一応、親に二人を任せてきたけど……。
さすがに何か買って帰らないと、マスターの面子が立たないからね。」
「そっか……。リンちゃんとレン君も……。
じゃあ、もしかしてミクちゃんやMEIKOさんも?」
「ミクちゃんも風邪引いて寝てるって秋彦先輩が言ってたけど
MEIKOさんの所は逆に春樹先輩が風邪引いてて、今日
学校休んでたよ。」
「そ、そうなんだ……。」
 何て言うか……春樹先輩が不憫に思えた。

 私達がそんな会話をしていると、奏兄さんがやって来た。
「よぉ、美冬に千夏……って、美冬。おまえまだその格好なのか?
まさか……一日中パジャマだったのかよ。」
「……もうパジャマにつっこむのはいいから(汗)。
それより、奏兄さん……何処かに行くの?」
「え?あぁ、千夏の家に行く所。さっき電話でこいつにも
リンとレンを診てくれって頼まれたからさ。」
「あぁ……。そういえば、ルカさんは風邪……大丈夫なの?」
「そりゃあ、俺がちゃんとウィルス耐性のカスタマイズしてるからな。
でもまだ試作段階だから、油断は出来ないけど。」
「そう……。気をつけてね、奏兄さん。
ルカさんの事、しっかり守らないと駄目だよ!」
「お……おう。何か妙に重みのある言葉だな……。」

 そして私は、千夏と奏兄さんを見送った後……。
急いでKAITOの部屋へ戻って行った。

……続く。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

アイ・ストーリー 第三話 其の三

第三話の続きです。
ちょっと他のキャラ達のエピソードを垣間見せてみました。

奏はルカ以外に本当女っ気ないですからね~……。
まぁ、いつかルカ編を語る時の為にその話は
閉まって置きましょう。^v^*
他のキャラ編も……☆

多分これから展開はさらに甘くなるかと(笑)。
乙女チック上等!(←は?)

閲覧数:204

投稿日:2009/04/20 23:44:37

文字数:1,063文字

カテゴリ:小説

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