とある日曜日の朝。
メイコがリビングのテーブルで朝食後のコーヒーを飲んでいると、カイトが今目を覚ましたといった風で現れた。
「ふぁーぁ…。めーちゃん、おはよぅ。」
「おはよう。カイト。早く朝ごはん食べなさい。」
「はぁーい。」
そういうとカイトはめーちゃんの向かいに座り、ご飯を食べ始めた。
そこでふと、
(今日はリビングに人が少ないなぁ。)
と感じたカイトは、
「そういや、ミクたちは?」
「今日は早くから出かけたわよ。皆でお泊りですって。明日には帰るらしいから。」
暖かいコーヒーで手を温めながらメイコは答えた。
「ふーん、そーなんだ。(もぐもぐ)」
「はぁ・・・カイト、しゃべるなら口の中のものを無くしてからにしなさい。」
メイコが呆れながらカイトに注意した。
注意されたカイトは黙って(メイコと話したいがために)一生懸命朝食を頬張った。
・・・
「ご馳走様!ねぇ、めーちゃん。じゃあ今日一日僕ら二人なの?」
食べ終わったカイトはやっと話せる、とばかりにメイコに話しかけた。
「えぇ、そうね。私もカイトも今日はoffだし…。」
それを聞いたカイトは嬉しそうな顔をして食器を片付け始めた。
片付け終わったカイトがリビングに戻ってきて、いい事思いついたとばかりに
「じゃあさ、ちょっとどこかへ出かけない?お昼も向こうで食べようよ。」
と、メイコに提案した。
「そうね…たまには良いかも。あ、そうだ、夕ご飯は何が食べたい?どうせだからついでに買い物もして帰りましょうよ。」
「そーだね。うーん…だいぶ寒くなってきたしお鍋にしない??」
「良いわね、お鍋。カイトにしてはいい考えだわ。」
「…それ、褒めてないよね…(泣」
カイトが少しいじけたが、メイコは見事に無視していた。
「そうと決まったら、早く準備しなきゃね。ん?まったく、何いじけてんの?片付けたなら早く準備しなさい。」
そういうメイコにカイトは少しいじけたままの不満げな顔で、
「はぁい…。」
と答えて仕度を始めた。
・・・
百貨店についてお昼も食べ、ゆっくりと小物などを見て楽しい時間は過ぎていった。そして時計を見て少し時間の経過の早さに驚きつつも、カイトは夕ご飯のおかずを買わなければいけないことに気付いた。
「あ、もうこんな時間だよ、めーちゃん。そろそろ夕ご飯のおかず買わなきゃ。」
「あら、本当。もうこんな時間なのね。」
カイトはメイコも自分と同じように時間を忘れて楽しんでいたと気付き嬉しくなった。
「具はどうしよっか?」
「そうねぇ…。」
などと話しながら二人は着々と買い物を済ませていった。かごを持つのはもちろんカイト。
買う物も一通りかごに入れ、アイスのコーナーに来たと同時に、
「カイト!?あんたどれだけアイス入れてるのよ??!まだ家にあったでしょ!?」
とメイコに怒られ、まだ入れようとしていた格好のままカイトは固まってしまった。そして少なからず悲しそうな顔をして、
「え…だって、これ(ダッツ)欲しい…。」
「あんたねぇ…。だからって入れすぎでしょうが。」
そういって呆れた顔をしたメイコに、
「で、でもめーちゃんだってまだ家にいっぱいあるのにお酒入れてるじゃないかー。」
ぶーぶー、と文句を言うカイト。
「い、いいのよ、これは。夕食の時に一緒に飲むためなんだから…。」
周りの喧騒のせいでメイコの呟きを聞き取れなかったカイトは不服そうにしながらも、
「むー。分かったよ。じゃぁ二つだけ買っていい?食後に一緒に食べようよ♪」
と、満面の笑み。
「な…///わ、分かったわよ。二つだけだからね。」
カイトの提案にびっくりして思わず少しほほを染め、妥協したメイコの顔の赤さにカイトは気付かず、
「わぁい♪これ僕のおすすめなんだー♪」
と言って二つだけかごに入れなおしたその顔は心なしか嬉しそうだった。
「ほ、ほら、買うものも決まったしレジ済まして帰るわよ。」
「はーい。」
・・・
和室のコタツで鍋をはさんで二人は座っていた。そして鍋の具合を見つつメイコが、
「もういいかしら?あ、お酒とってくるわ。ちょっと待っててよ。」
と言うも、鍋に気を取られているカイトは、
「はーい。」
と生半可な返事を返した。
しばらくして、お酒を手に戻ってくるメイコの手にはカイトの分のお猪口もあった。
「ほら、あんたも飲むでしょ?///」
と、メイコに珍しくメイコのお酒を勧められ、カイトはあっけにとられた。
「え、あ、うん。…いいの?それ今日買っためーちゃんのお気に入りのお酒だよね?」
「い、いいのよ!///べ、別にあんたと一緒に飲みたくて買ったわけじゃないんだからねっ?!///」
「めーちゃん…。ぅん///ありがとう。」
凄く嬉しそうな顔をしたカイトにメイコは顔を赤くした。そしてコタツに入り、
「ほ、ほら、早く食べましょ///」
と赤い顔を誤魔化すためにカイトに鍋を促した。
「うん。いただきまーす♪」
「いただきます。」
いきなり熱々の牡蠣を頬張ったカイトは、
「あつぅっ!!!!」
盛大なリアクションをとりつつ火傷しかけた舌をパタパタと扇いだ。
「あはは、あんた何してんのよ猫舌の癖にいきなり牡蠣からいくからそうなるのよ。」
「ぅう~…。だ、だって~。」
面白そうにこっちを見て笑うメイコにカイトは少し涙目で恨めしそうな顔をした。
そんなことをしつつお酒を注ぎあったりしながら二人は鍋をつついた。
・・・
「「ごちそうさまでした。」」
二人ともほろ酔い加減のところで丁度お鍋が終了した。
「あ、そーだ。」
そう言ってコタツを抜けて台所へ行くカイトに、
(どうしたのかしら…?)
と視線をおくるメイコ。
「食後のデザートォー♪」
と、酔っているせいかいつもより上機嫌な顔で両手にアイスを持って戻ってきた。
「僕のおすすめー♪食べよー、めーちゃん♪」
そんなカイトを見て、ふっ、とやさしい微笑をたたえつつ
「そうね。」
と答えるメイコに、ドキッとしながらカイトはアイス(とスプーン)を渡した。
カイトがコタツに入り、一緒にアイスを食べ始めると、
「あら、本当、おいしいわね。これ。」
とメイコが発したその言葉を聞いたカイトは嬉しそうな顔で、
「でしょ!?一番のお気に入りなんだよ♪めーちゃんの口にも合うかと思って。」
「・・・・・・・・ありがと。」
「ん?なんか言った?めーちゃん。」
「な、何も言ってないわよっ!///」
「そぅ?あ、もうこんな時間だぁ。」
時計を見たカイトは少し残念そうな顔をしていた。
「本当、明日は朝も早いしそろそろ片付けましょうか。」
そう言いつつもカイト同様少し残念そうな顔をしているメイコを見て、
(めーちゃんもおんなじ気持ちなのかな?)
と少し嬉しくなりつつ、
「うん、そーだね。」
と返事をして、二人仲良く片づけを始めた。
・・・
そして夜、寝る前にメイコの部屋の前で立ち止まってメイコを見るカイトを不思議に思ったメイコが、
「どうしたのカイト?」
と尋ねると、カイトは真剣そうな顔をして、
「めーちゃん…」
「な、なに?」
「一緒に寝よー?」
と満面の笑みであほなことを言った。それにメイコは一瞬あっけにとられたが、
「………あほかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
どごぉっっっ!!
メイコが放った拳は見事にカイトのおなかにクリーンヒット。
「ぶふぅっ!!」
あっけなく廊下に沈んだバカを見て、少し顔を赤らめていたメイコは
「ばか…。」
と一言残し、さっさと部屋に入り鍵をかけた。
・・・・・・
その翌日、廊下で沈んだままだったカイトが風邪を引いたとか引かなかったとか。そこに帰ってきたミクたちにいじられまくったとかはまたの別の話。
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